野元先生雑感

2018年02月22日

立春(りっしゅん)子供の教育(子と親) 2月4日

2月4日 立春

今年は気温の低い日が多く、東京では雪のために高速道路や空港に障害が出ている。松山でも山際では雪が降っている。患者さんには「健康のために、居間だけでなくトイレを含めて家全体を暖房しましょう」と声をかけている。皆も用心して必要な時には冬タイヤも検討しよう。

 

子供の教育(子と親)

ジストニア等の異常運動が心理反応として起こることがある。このために心理反応の強い方の診察を依頼されることも少なくない。ほとんどの異常運動の原因は心理反応ではないが、心理的要因で症状が修飾、あるいは増強されている例は少なくない。特に10歳代、20歳代では親子の関係が症状に関わっていることがある。

哺乳類が親と暮らすのは長くともいわゆる思春期までである。この時期になると、子は親元を離れて自分のパートナーと出会い子供を設けて新しいグループを作っていく。人も哺乳類であり、思春期になると生物としては準備が整い親元を離れ次の世代を引き継ぐように作られている。しかし、私たちは複雑な社会を作ってきた。6歳で学校に通い始め、中学、高校、大学、さらに、幼稚園、また大学院を設けて教育と勉強の期間を長くしている。思春期となっても親と暮らすために、独立しようとする子供と親とのバランスが微妙となりやすい。

日本ではこの時期になると元服という儀式があった。親とは別に暮らし教育係が世話をしたという。ヨーロッパではパブリックスクールがある。11歳ころ親元を離れ寮で生活しながら学校に通い、その後は大学へ進学する。以後は一般に親と生活することはない。英国のイートン校はこのパブリックスクールで、チャーチルが出たハーロー校もパブリックスクールである。また、ラ・サール校はラ・サール会が作っている学校であるが、10歳ころから共同生活を行いながら聖職者になる教育施設であったという。今も中学は寮生活を基本としている。洋の東西を問わずに、いずれも思春期を迎える時期に親元を離れるように作られており、生物としての仕組みにあった組織である。

しかしながら、私たちは11歳で親元を離れて暮らすことはめったにない。職業につくには高度の技術を要求され、長い教育期間を要する。思春期を過ぎると生物学的には親とは一緒に生活しない仕組みであることを考え、知恵を使うことが求められている。