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臨床研究「中枢神経原性悪性リンパ腫における術中迅速免疫染色の有用性に関する観察研究」の結果報告について
お知らせ
愛媛大学医学部附属病院では、医学・医療の発展のために様々な研究を行っています。その中で今回示します以下の研究では、以前にお知らせ致しましたように、当科にて加療を行った患者さんのカルテ記録や画像情報を使用致しました。この研究に関しては当科にて解析が既に終了しており、「Neuropathology」に結果を公表致しております。内容の詳細を知りたい方は、下記【お問い合わせ先】までご連絡下さい。
【研究課題名】
中枢神経原性悪性リンパ腫における術中迅速免疫染色の有用性に関する観察研究
【研究機関】愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科
【研究責任者】井上明宏(愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 講師)
【研究代表者】井上明宏(愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 講師)
【研究の目的】
中枢神経系原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma:PCNSL)の標準治療は、大量 methotrexate 療法(High dose methotrexate therapy:HD-MTX)に引き続き全脳照射を行うことです。この治療における手術の役割は生検手術による組織診断を確定することになりますが、患者さんの中には典型的な画像所見を呈さない場合もしばしばあり、時に膠芽腫(Glioblastoma:GBM)や他の炎症性疾患との鑑別に苦慮することがあります。このような場合には、術中の迅速病理診断が極めて重要となり、術中の迅速病理診断はPCNSL加療においては極めて重要なウエイトを占めています。しかしながら、従来の術中迅速病理診断は凍結切片での診断になることに加え、生検手術の場合は診断に十分な組織が得られないことも多く、形態診断のみでは診断精度に限界があると言わざるを得ません。その一方で、PCNSL患者さんの大部分はCD20陽性のびまん性大型B細胞性リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)であり、このことから私達は術中迅速診断に免疫組織診断を併用し、腫瘍内部にCD20陽性細胞の増殖を確認することが出来れば、生検手術による術中迅速診断の精度を上昇させることだけでなく、手術時間の短縮に加え不要な組織摘出を防ぐことで患者さんの治療改善につながるのではないかと考えております。すなわち、本研究はPCNSL患者さんにおける術中の迅速組織標本を用いてCD20の迅速免疫組織染色を施行し、その結果を評価することでPCNSLに対する新たな治療戦略を開発することを目的とします。
【研究の方法】
(対象となる患者さん)2021年1月から2023年12月までに当院で治療を施行、または治療施行予定のPCNSL疑いの患者さん。
(利用するカルテ情報)性別、年齢、発症時期、合併症、既往歴、身体所見、血液検査データ、画像検査データ、治療状況 等
(利用する試料)通常の診療手術で取得した術中腫瘍組織
【研究結果の公表】
【個人情報の取り扱い】
収集した試料・情報は名前、住所など患者さんを直接特定できる情報を除いて匿名化いたします。個人を特定できるような情報が外に漏れることはありません。また、研究結果は学術雑誌や学会等で発表される予定ですが、発表内容に個人を特定できる情報は一切含まれません。
<試料・情報の管理責任者>
愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 氏名 井上明宏
さらに詳しい本研究の内容をお知りになりたい場合は、【お問い合わせ先】までご連絡ください。他の患者さんの個人情報の保護、および、知的財産の保護等に支障がない範囲でお答えいたします。
【お問い合わせ先】
愛媛大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学 講師 井上明宏
791-0295 愛媛県東温市志津川454
Tel: 089-960-5338