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臨床研究「中枢神経原性悪性リンパ腫における早期治療介入のための迅速遺伝子診断の確立に関する観察研究」について
お知らせ
愛媛大学医学部附属病院では、医学・医療の発展のために様々な研究を行っています。その中で今回示します以下の研究では、患者さんのカルテの記録や画像情報に加え、手術で摘出した腫瘍組織を使用します。この研究の内容を詳しく知りたい方や、カルテや保管されている画像情報および摘出腫瘍組織を利用することをご了解いただけない方は、下記【お問い合わせ先】までご連絡下さい。
【研究課題名】
中枢神経原性悪性リンパ腫における早期治療介入のための迅速遺伝子診断の確立に関する観察研究
【研究機関】愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科
【研究責任者】井上明宏(愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 講師)
【研究の目的】
中枢神経系原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma:PCNSL)の標準治療は、化学療法に引き続いて放射線治療を行うことですが、最近では分子標的治療薬の有用性も報告され、その治療方法は多岐に渡っています。一方で、PCNSL加療における手術の目的は、生検手術により診断を確定することにあり、診断のための手術を早急に行う必要があり、術中の迅速病理診断は極めて重要なウエイトを占めています。一方で、PCNSLの大部分はCD20陽性のびまん性大型B細胞性リンパ腫であるため、術中迅速診断に免疫組織診断を併用すれば生検手術による診断の精度中枢神経系原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma:PCNSL)の標準治療は、化学療法に引き続いて放射線治療を行うことですが、最近では分子標的治療薬の有用性も報告され、その治療方法は多岐に渡っています。一方で、PCNSL加療における手術の目的は、生検手術により診断を確定することにあり、診断のための手術を早急に行う必要があり、術中の迅速病理診断は極めて重要なウエイトを占めています。一方で、PCNSLの大部分はCD20陽性のびまん性大型B細胞性リンパ腫であるため、術中迅速診断に免疫組織診断を併用すれば生検手術による診断の精度を飛躍的に向上させることが可能になります。そこで、我々は2022年4月から術中迅速免疫組織診断を導入、2023年からはフローサイトメトリー(FCM)も追加することで正確な診断と早期治療介入を行う方針としており、現在のところ生検手術時における迅速診断の的中率は100%で、生検手術から化学療法導入までの期間も劇的に短縮しております(Inoue A, et al. Acta Neurol Belg. 2024)。しかしながら、現在のところ術中の診断確定までに50分以上を要するため、より短時間で確実な診断を得られる検査手法の登場が望まれます。そこで我々は、PCNSLに高頻度で認められるMYD88 L265P遺伝子変異の解析に着目しました。MYD88 L265P変異はリンパ球系の疾患で認める遺伝子異常であり、約8割の患者さんで陽性となるとされており診断マーカーとしての有用性が報告されています。この検査は解析時間が約15分と短時間であるため、本検査法を術中の迅速遺伝子診断として応用することが出来れば、手術時間の短縮につながることは間違いなく、将来的には術中の迅速遺伝子診断により短時間で診断を確定させ、同時に迅速免疫組織染色とFCMを並行して行うことが出来れば、化学療法開始に要する時間の短縮だけでなく、手術時間も大幅に短縮可能となり患者さんの負担が飛躍的に軽減されると考えています。そこで、当院におけるPCNSL患者さんの摘出腫瘍組織を術中遺伝子診断にて評価し、迅速免疫組織染色を含む病理診断結果やFCM結果と共に解析することで本仮説を検討したいと考えており、この研究はPCNSL患者さんにおける早期の治療開始を行うための効果的な診断方法の確立を行うだけでなく、PCNSLに対する新たな治療戦略を開発することを目的とします。
【研究の方法】
(対象となる患者さん)2024年10月から2026年12月に愛媛大学医学部附属病院で手術を含む標準治療を施行予定の中枢神経原生悪性リンパ腫の患者さん
(利用するカルテ情報)性別、年齢、発症時期、合併症、既往歴、身体所見、血液検査データ、画像検査データ、治療状況、腫瘍データ(遺伝情報を含む)等
(利用する手術摘出組織情報)通常の診療手術で取得した術中腫瘍組織を用いて解析致します。
【個人情報の取り扱い】
収集した試料・情報は名前、住所など患者さんを直接特定できる情報を除いて匿名化いたします。個人を特定できるような情報が外に漏れることはありません。また、研究結果は学術雑誌や学会等で発表される予定ですが、発表内容に個人を特定できる情報は一切含まれません。
<試料・情報の管理責任者>
愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 講師 氏名 井上 明宏
さらに詳しい本研究の内容をお知りになりたい場合は、【お問い合わせ先】 までご連絡ください。他の患者さんの個人情報の保護、および、知的財産の保護等に支障がない範囲でお答えいたします。
【お問い合わせ先】
愛媛大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学 講師 井上明宏
791-0295 愛媛県東温市志津川454
Tel: 089-960-5338