愛媛大学医学部 脳神経外科学

最先端医療への取り組み

光線力学診断(PDD)と光線力学療法(PDT)

当院では、悪性神経膠腫に対して、光線力学診断(photodynamic diagnosis; PDD)を行っています。治療において、手術で最大限の摘出を行うことが重要ですが、神経膠腫は周囲の脳組織に浸み込むように浸潤性に発育するため、摘出腔周囲には一部の腫瘍細胞が残存し、これらの残存腫瘍細胞が再発の原因となります。しかし、通常の手術用顕微鏡で観察するだけでは、腫瘍と周囲の脳組織との境界が分かりにくく、特に運動や言語など重要な機能を担う領域の近くでは、正常脳組織を傷つけずに腫瘍をできる限り摘出することが重要となります。手術前に5-アミノレブリン酸(5-ALA)という光感受性物質を服用し、手術中に特殊な光を照射すると腫瘍が選択的に赤色に染まります。このPDDにより、正確かつ最大限の腫瘍摘出を行うことが可能となります。副作用として光線過敏症があるため、術後2日間は遮光管理が必要となります。

また、悪性神経膠腫などの原発性悪性脳腫瘍に対する光線力学療法(photodynamic therapy; PDT)も行っています。浸潤性の腫瘍や脳機能を温存する目的のため全摘出が困難な場合は、摘出腔周囲に腫瘍細胞が残存します。PDTは、このような摘出腔周囲や摘出困難な部位に残存する腫瘍細胞を、正常な細胞を傷つけずに可能な限り選択的に治療する方法です。腫瘍に選択的に蓄積する光感受性物質である、タラポルフィンナトリウム(レザフィリン®)を手術前に投与し、手術中(腫瘍摘出後)にレーザー光を照射することで、レザフィリンが蓄積した腫瘍細胞で光化学反応が起きます。この化学反応で発生した強い酸化作用が、腫瘍細胞を選択的に変性・壊死させます。この治療には、光線過敏症などの副作用の可能性があるため、投与から約2週間は遮光管理が必要となります。

PDD

PDT

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