新着情報
臨床研究「グリオーマにおける特異的因子の検索および治療効果判定」の結果報告について
お知らせ
愛媛大学医学部附属病院では、医学・医療の発展のために様々な研究を行っています。その中で今回示します以下の研究では、以前にお知らせ致しましたように、当科にて加療を行った患者さんのカルテ記録や画像情報を使用致しました。この研究に関しては当科にて解析が既に終了しており、「Translational Oncology」に結果を公表致しております。内容の詳細を知りたい方は、下記【お問い合わせ先】までご連絡下さい。
【研究課題名】
グリオーマにおける特異的因子の検索および治療効果判定
【研究機関】愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科
【研究責任者】井上明宏(愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 講師)
【研究代表者】井上明宏(愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 講師)
【研究の目的】
膠芽腫の治療において DNAメチル化剤テモゾロミド(TMZ)の導入は大きなブレークスルーでしたが、TMZ 耐性症例も多く化学療法剤単独による膠芽腫治療への限界が示唆されています。一方で、腫瘍生物学的特性を利用した分子標的治療薬であるBevacizumabの有効性も期待されていましたが、病態の一時的な改善効果は得られるものの有意な生存延長効果は確認されていないのが現状です。これまでに我々は浸潤性の高い膠芽腫の腫瘍辺縁部にCD44を高発現するCSCが存在することを報告してきましたが、同細胞群の再発機序に関しては未だ定かではありません(M Nishikawa, A Inoue et al. Stem cell international)。そこで、今回我々はCD44のリガンドとして知られているOsteopontin(OPN)に着目しました。OPNは低酸素下でCD44と特異的結合を示すタンパク質であり、CD44と結合することで腫瘍増殖やstem cellの幹細胞性維持に働くという過去の報告があります。このことから、我々はOPNが膠芽腫における浸潤から増殖へとphenotypic transitionを起こす分子なのではないかと考えました。そこで、今回我々はこのOPNに着目し、その発現および機能を解析することで、膠芽腫再発の分子病態について検討を行うと共に、本結果を活用して膠芽腫の新たな治療戦略を開発することを目的とします。
【研究の方法】
(対象となる患者さん)2017年4月から2019年12月に愛媛大学医学部附属病院を受診された方のうち膠芽腫と診断された患者さん
(利用するカルテ情報)性別、年齢、発症時期、合併症、既往歴、身体所見、血液検査データ、画像検査データ、治療状況、腫瘍データ(遺伝情報を含む)等
(利用する画像)通常の診療および手術で取得した画像
【研究結果の公表】
【個人情報の取り扱い】
収集した試料・情報は名前、住所など患者さんを直接特定できる情報を除いて匿名化いたします。個人を特定できるような情報が外に漏れることはありません。また、研究結果は学術雑誌や学会等で発表される予定ですが、発表内容に個人を特定できる情報は一切含まれません。
<試料・情報の管理責任者>
愛媛大学医学部附属病院 脳神経外科 氏名 井上明宏
さらに詳しい本研究の内容をお知りになりたい場合は、【お問い合わせ先】までご連絡ください。他の患者さんの個人情報の保護、および、知的財産の保護等に支障がない範囲でお答えいたします。
【お問い合わせ先】
愛媛大学大学院 医学系研究科 脳神経外科学 講師 井上明宏
791-0295 愛媛県東温市志津川454
Tel: 089-960-5338