愛媛大学医学部 脳神経外科学

最先端医療への取り組み

神経内視鏡手術

近年、医療機器の進歩と相まって、脳神経外科領域においても内視鏡手術が徐々に広まっています。当科では内視鏡(軟性鏡)を用いた水頭症手術や、脳室内病変に対する低侵襲な生検術は兼ねてから施行してきましたが、2013年からはこれまで顕微鏡下に行っていた経鼻手術に内視鏡を導入し、下垂体腺腫や頭蓋咽頭腫、脊索腫などの病変に対して積極的に内視鏡手術を行っています。2014年からは耳鼻咽喉科と合同で手術手技セミナーを開催し、お互いの知識や技術の補完を行ってきました。日本ではまだ少ないですが、2017年からは経鼻内視鏡頭蓋底手術チームを脳神経外科・耳鼻咽喉科で発足し、現在、経鼻内視鏡手術は二科合同で行っています。鼻の部分を専門の耳鼻咽喉科が行うことで、鼻内の機能や構造により配慮した手術が可能になり、術後の鼻内フォローも耳鼻咽喉科で行うので、より専門的な鼻内のケアが行えます。手術アプローチに関しても、耳鼻咽喉科医と組むことで、従来の経蝶形骨洞手術のみでなく、前頭蓋底、側頭窩下、斜台病変などへも経鼻での内視鏡手術が可能になっております。鼻内の悪性腫瘍で頭蓋内進展がある症例も、従来は開頭術を併用しておりましたが、現在は経鼻手術単独で施行可能な症例も多くなっています。また従来の開頭手術と経鼻内視鏡手術を同時に行うことで、これまでは全摘出が困難であった大型腫瘍の手術も一期的に摘出が可能になっています。

周辺の血管を巻き込むように左側方に進展した病変で、従来は2期的に手術を行うか、残存した病変に放射線治療を行っていましたが、経鼻内視鏡手術と左側頭開頭手術を同時に行うことで一基的に全摘出を行うことが出来ました。

機器に関しては最新鋭のオリンパス社製の4K内視鏡を導入しています。従来のHDと比較して高精細で、表現可能な色の範囲が大幅に拡大した画像が得られますので、腫瘍と正常組織の判別がより正確に出来るようになりました。またデジタルズームを用いることで内視鏡を近接せずに観察できますので、手術操作性の向上にも貢献しています。

2018年からは従来、顕微鏡下で行っていた開頭手術を内視鏡を用いることで、より小さな皮膚切開、開頭で手術を行っています。適応は限定的ですが、従来の手術に比べて低侵襲な手術を行うことが出来るようになっています。

耳介上方に6㎝のS字の皮膚切開をおき、3㎝の小開頭を行い、内視鏡下に腫瘍を摘出行いました。図のように安全性を高める為に、ナビゲーションの技術を併用しています。術後のMRIで確認出来るように腫瘍は全摘出されています。

従来は前頭開頭を行い、両側の大脳半球を分け、アプローチしていた腫瘍です。本症例は左眉に6㎝の皮膚切開をおき、3㎝の小開頭を行い、内視鏡下に腫瘍を摘出行いました。内視鏡手術専用の器機を使用することで、神経の剥離(図は視神経からの剥離の様子)などの繊細な操作も可能です。術前に認められた視力視野障害も術後、改善しています。術後のMRIで確認出来るように腫瘍は全摘出されています。

*いずれの提示症例も実例のひとつであり、すべての症例にあてはまる訳ではありません。

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