愛媛大学医学部 脳神経外科学

最先端医療への取り組み

術中モニタリング・覚醒下手術

脳神経外科手術において、治療対象となる病変が、大事な機能を持った部分にある場合や、近くに存在する場合、手術に工夫をすることが必要となります。治療のために最大限の摘出を、生活の質を保つための最小限の障害で、成し遂げることが求められています。実際、関連する機能は様々ですが、「手足を動かす」運動機能、「手足で感じる」感覚機能、「目で見る」視覚、「音を聞く」聴覚、そして「言葉を理解して話す」言語機能などが代表的です。

当院では、ニューロマスターMEE-2000(日本光電社製)を導入して、次に挙げるような機能に関してのモニタリングを、手術の必要に応じて併用して行っています。どのモニタリングを使用するかは、病変の場所によって決まります。

Neuromaster G1 MEE-2000

運動誘発電位:MEP(motor evoked potential)

運動機能領域近傍や、その経路に関わる手術において、運動に関連する機能野を直接電気刺激して、手足の筋肉の反応を確認することで運動機能を調べる手法です。

体性感覚誘発電位:SEP(somatosensory evoked potential)

感覚機能領域近傍や、その経路に関わる手術において、関連する手足特定の神経を刺激して、脳において誘発される電位を確認することで感覚機能を調べる手法です。 具体的には、手首の真ん中を走る「正中神経」や、足のくるぶしの後方に走行する「脛骨神経」を電気刺激することで、感覚を処理する脳の領域で誘発される電位を確認することで、感覚機能を調べる手法です。

視覚誘発電位:VEP(visual evoked potential)

目に光刺激を与えて、視力・視野に関する後頭葉領域で誘発される電位を確認することで、視覚に関する経路を調べる手法です。

聴性脳幹反応: ABR(auditory brainstem response)

耳に音刺激を与えて、脳波を加算平均して聴神経や脳幹を経由する聴覚に関する経路を調べる手法です。

他にも、NIM neuro 3.0(Medtronic社製)があり、次のようなマッピング・モニタリングに利用されています。

顔面神経モニタリング

脳幹近傍の腫瘍に対する外科治療において、顔面神経のマッピング、モニタリングを行う必要があります。 術中に、脳幹や顔面神経を刺激して顔面筋肉の反応を確認することにより、顔面神経を同定して機能の温存を図ります。

NIM neuro 3.0

覚醒下手術

最近はテレビの医療ドラマなどでも紹介されることがある覚醒下手術は、「術中に、患者さんの麻酔を止めて目覚めさせ、運動機能はもちろん、言語機能や高次脳機能の場所を同定して、それらの機能をリアルタイムに確認していく手術法」です。

具体的には、負担の大きい開頭(頭を開ける操作)や閉頭(頭を閉じる操作)の手技は全身麻酔下で行ないます。その間で、麻酔を止めることで意識を覚醒させた状態にして、重要な機能がある脳自体の手術を行っていくものです。これによって、患者さんの神経症状が悪化しないか確認しながら異常病変の摘出術をすすめることが可能となるので、脳機能部位近傍の病変でも機能温存に有用な方法です。現在、最も一般的な手法では、高頻度の電気刺激を脳の表面に与えると、対応する筋の収縮、言語停止、機能障害などの臨床症状が一時的に出現しますので、これによって刺激した部分の機能を知ることができます。2012年にはガイドラインが定められ、2014年には保険適応も認められている手法になります。当院では、手術部と麻酔科・蘇生科の協力を得て、ガイドライン制定に先立つ2000年から、必要に応じて準備・実施しています。

一覧に戻る

  • 医局窓口 TEL.089-960-5338 FAX.089-960-5340
  • 脳神経外科外来総合窓口 TEL.089-964-5111
医局窓口

TEL.089-960-5338

FAX.089-960-5340

脳神経外科外来総合窓口

TEL.089-964-5111

Copyright © Department of Neurosurgery Ehime University Graduate School of Medicine All right reserved.