愛媛大学医学部 脳神経外科学

治療対象となる疾患

脳梗塞

更新日:2014/05/01

脳梗塞(のうこうそく)は、何らかの原因で脳の血管が詰まってしまうことで起こる病気で、脳卒中の約7割を占めます。近年、脳梗塞患者は増加傾向にあり、的確な診断と治療を行う必要があります。
 脳梗塞の治療を行ううえで最も大切なことは、発症後できるだけ早く治療を開始することです。なぜなら、脳の神経細胞は一旦死んでしまうと再生しないため、脳の細胞が死滅するまでに、治療を開始する必要があるためです。
 脳梗塞には、脳塞栓(心臓や他の全身の血管にできた血栓が脳血管に流れていって詰まる)、アテローム血栓性脳梗塞(脳や頚部の太い血管が詰まったり、細くなることで生じる)、ラクナ梗塞(脳の深部の細い血管が詰まる)の3つのタイプがあって、それぞれのタイプに応じた治療を行わなければなりません。さらに、一旦脳梗塞を起こされた患者さまは、再度脳梗塞をきたすことも多いため、脳梗塞の再発を予防することも重要となります。
 当院では、脳卒中・循環器病センター開設に伴い、患者さまの来院後すぐにCTscan(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)、SPECT(脳血流検査)、脳血管撮影などの検査ができるシステムをとっています。これらの診断機器を用いて、早期に診断を行い、できる限り早く治療を開始しています。
 脳梗塞治療としては、脳血管内手術やバイパス手術といった外科的治療が有効なこともありますが、治療の中心は薬物治療です。脳梗塞治療薬には様々な種類がありますが、これまでは、閉塞した血管の再開通を目的とした根本的な治療薬はありませんでした。しかし、平成17年11月よりt-PAという根本的な治療薬が使用可能になりました。t-PAは、プラスミノゲンという物質を活性化することにより、新たな血栓をできにくくしたり、できた血栓を溶かして、脳の血流を再開させる血栓溶解薬です。症状の完全な回復も期待できる一方で、副作用として、再開通をすることにより脳出血がおこり、かえって症状が悪化したり、ひどい時には死亡することもあります。このため使用に関しては、「発症後3時間以内の治療開始」を含めた厳しい適応基準が設けられており、使える施設も限定されています。当院では、このtPA治療可能であり、適応のある患者さまに使用しています。また、当院では、非常に細いカテーテルを用いて血栓を溶かす血栓溶解療法(血管内手術)といった特殊な治療も可能です。

tPA治療を行った症例です。 来院時は頭の大事な血管が閉塞していましたが、tPA治療を行い、閉塞血管の開通を認め、症状も改善しました。

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