愛媛大学整形外科では、長年にわたり日本整形外科学会「整形外科移植に関するガイドライン」に準拠した施設内骨バンクを運用し、人工股関節再置換術や腫瘍再建など、多岐にわたる臨床で同種骨を活用してきました。近年では、トレーサビリティの強化や倫理的配慮に対する社会的意識の高まりを受け、より厳格な管理体制の整備が求められています。このような背景のもと、当科では日本組織移植学会認定骨バンク(カテゴリー1)の取得を目指し、2024年より運用体制の再構築に着手しました。
厳しい書類審査と現地査察を経て、2024年9月に正式な申請書を日本組織移植学会に提出し、2025年10月28日に認定されました。本邦でカテゴリー1認定骨バンクを有するのは、これまで北里大学と東京大学の2施設のみであり、当院の認定は全国で3施設目(西日本初)となります。今回の認定取得により、他施設への同種骨提供も可能となりました。
今後は、まず院内および関連病院間で安定した提供・管理体制を確立し、将来的には中国・四国地域における同種骨提供の要請にも応えられるよう、広域的な提供ネットワークの構築を目指します。安全性と倫理性を重視した骨移植医療の質向上に努め、日本の骨移植医療を牽引する骨バンクネットワークの形成に寄与してまいります。





前半のセッションでは、各施設から講演が行われました。
高須 厚 先生(済生会松山病院) は転子部骨折における整復評価やカットアウトリスクについて解説されました。
石丸 泰光 先生(HITO病院) はDVT予防における抗凝固療法の運用を報告し、施設間の対応の違いを共有しました。
渡森 一光 先生(愛媛大学) は手術待機期間の現状を取り上げ、48時間以内の手術実施率が課題であることを示されました。
楠目 浩祐 先生(市立宇和島病院) はFull HA coated stemとセメントステムの比較を行い、BCISや術中骨折といったリスクに触れつつ、インプラント選択の考え方を示されました。
最後に、特別講演として 渡辺病院 白形 陽生 先生 がご登壇されました。長年にわたり愛媛県の外傷診療を支え、若手医師の教育と技術向上に尽力されてきたご経験を踏まえ、「大腿骨近位部骨折に対する診断・治療・予防」について包括的にご講演いただきました。








