小児医療を通じて未来を守る
愛媛大学小児科 ~小児医療を通じて未来を守る~

アレルギーグループ 

アレルギーグループの紹介

アレルギーグループは2005年にできたグループです。小児アレルギー疾患の頻度の増加に伴い、若手の育成を目的に結成されました。当初は他のグループの医師のうちアレルギー診療に興味を持つ医師の集まり「サブ・グループ」として活動を開始しましたが、その中から自然発生的に専門グループができました。サブ・グループのメンバーは30名を超えますが、正式メンバーはまだ少なく、学内3名、学外8名です。
アレルギー疾患患者は近年増加傾向で診療は多岐にわたるため、開業医の先生方と連携をとることは重要であり、医師会などの活動にも積極的に参加しています。また、愛媛小児吸入療法法研究会を通じて薬剤師の先生方とも連携を強めています。
尚、愛媛大学附属病院小児科は日本アレルギー学会認定指導施設(小児科)です。

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臨床

(1)食物アレルギー

食物アレルギーの診断、検査、治療、指導を主に外来で行っています。検査は、血液検査(抗原特異的IgE検査、リンパ球幼若化反応、好塩基球刺激試験など)、皮膚テスト(スクラッチ・プリックテスト、パッチテストなど)、食物経口負荷試験を行っています。食物負荷試験届出施設であり、愛媛小児食物アレルギー委員会の認定負荷試験センターになっています。また、アナフィラキシーの危険性のある患者様には、緊急用の内服、携帯用エピネフリン自己注射用キットの処方、アナフィラキシー対応ガイドラインの配布も行っています。
食物アレルギーの患者数は年々増加しており、重症の即時型反応を起こす例も増えています。一方で、個人的な判断での除去食は小児の成長を妨げますし、集団生活上において大きな問題となっています。重要なのは、きちんと診断して、最低限の除去食を最低期間行うことですが、そのために必要な食物経口負荷試験は、できれば各地域で行うことが望まれます。2019年4月現在、愛媛県ではサブ・グループ医師の協力により、愛媛大学医学部小児医学教室関連の県下基幹病院中9施設で食物経口負荷試験が実施可能です。負荷試験が安全で正確に行えるように、負荷試験方法の検討や定期的な勉強会を行って、少しでも多くの患者様に正しい治療を行っていただけるように努力しています。また、ネットワークを介して、情報の伝達にも努めています。
愛媛県では、食物アレルギーを持つ小児が、集団の場でも理解ある扱いを受け、安全な生活を送れるようにするため、保育・教育、家庭、医療が手を結んで、情報の共有と知識の向上を目指す活動が2006年に開始されました。以後、県下の各地域で食物アレルギーシンポジウム行い、情報共有のための除去食連絡票の普及、食物アレルギーの正しい知識の普及に努めています。アレルギーグループはこの会の活動の中心となって活動しています。
*詳しくは愛媛県小児科医会公式HP: http://www1.ehime.med.or.jp/epa/ の「アレルギー疾患対策委員会」をご参照ください。

(2)小児気管支喘息

小児の気管支喘息は、思春期までに寛解しない場合成人喘息に移行すると言われています。気管支喘息の正しいコントロールを目指して、診断、検査(血液検査、呼吸機能検査、気道過敏性検査;アストグラフ、アセチルコリン吸入試験・呼気NO測定など)、治療、指導を行っています。呼吸機能検査や気道過敏性検査は小児気管支喘息の治療の評価に欠かせないものですが、一般外来診療の場では施行しにくい傾向があり、これらの検査施行は大学の重要な任務と考えます。また同様に、時間がかかるが治療の重要な部分を占める、環境整備、吸入指導、内服指導など、患者、家族の方に対する指導にも力を入れています。
また、小児の吸入療法が確実に行われるためには患者様に対する吸入指導が重要と考え、「愛媛小児吸入療法研究会認定吸入指導システム」を2015年から県小児科医会、県薬剤師会と共同で構築中です。これは、患者様に対する適切な吸入指導が県下全域の薬局で同じレベルで受けられることを目的とした屋根瓦式の教育システムで、教育を受けた認定インストラクターが着実に認定され、小児科医による吸入指導箋システムも実行に移されています。
 *詳しくは愛媛県小児科医会公式HP: http://www1.ehime.med.or.jp/epa/ の「アレルギー疾患対策委員会」から「愛媛小児吸入療法研究会」をご参照ください。

(3)小児アトピー性皮膚炎

小児アトピー性皮膚炎は重症化すると夜間不眠や成長障害の原因ともなり、適切な診断と早期の治療が必要です。検査では血液検査(RAST,HRTなど)、皮膚テスト(スクラッチテスト、パッチテスト)、乳児早期の診断に遅発型反応を利用した検査などを行っています。特に乳幼児のアトピー性皮膚炎の治療では、スキンケア・外用療法の実際・環境整備指導・除去食指導などきめ細かい指導をこころがけています。

・その他、じんましん、小児のアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、好酸球性胃腸症などの種々の疾患をトータルに扱っています。

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研究

(1)疫学調査

  • ・八幡浜市小中学校生徒のアレルギー疾患に関する疫学調査
  • ・八幡浜市小学校生徒における呼吸機能検査・アレルギー検査の実態調査
  • ・愛媛県下地区別の吸入性抗原感作状況に関する検討

(2)食物アレルギーに関する研究

  • ・貝類の食物蛋白依存性腸炎症候群(Food Protein Induced Enterocolitis Syndrome: FPIES)におけるリンパ球刺激試験の有用性に関する検討
  • ・重症食物アレルギーに関する経口免疫療法(ステップアップ法)の長期有用性についての検討
  • ・重症ピーナッツアレルギー患者に対するパウダーを用いた経口免疫療法の有用性についての検討

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