愛媛大学医学部附属病院 人工関節センター

センター情報

より良い人工関節をより多くの患者さんへ

愛媛大学整形外科教授
人工関節センター長 三浦 裕正

わが国では超高齢社会の進展に伴い、運動器の老化に伴う疾患、いわゆるロコモティブシンドロームが増加しています。その中の主要な原因疾患である変形性膝関節症については、国内の潜在患者数は約2500万人と推定されており、中高年の患者さんの膝痛の中で最も頻度の高い疾患です。また、変形性股関節症は、日本人特有の先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全に伴う二次性のものが多く、変形性膝関節症とともに要支援、要介護の原因疾患としても最上位を占めています。近年の報告では日常生活動作の制限だけにとどまらず、生命予後にも影響していることが指摘されています。このように変形性関節症は発生頻度もさることながら、国民のQOL(生活の質)を左右する重大な疾患であり、病気が進行すると人工関節置換術が必要となってきます。2011年における国内での年間手術件数は人工膝関節置換術 (TKA) 約7万件、人工股関節置換術 (THA) 約5万件で、毎年右肩上がりで増加しており、当科でもここ数年で急増しています。人工関節手術の成績は比較的安定していますが、良好な結果を得るためには精度の高い手術が不可欠です。私たちはこれまで人工膝関節の独創的な手術理論の構築や精度向上に関する多くの業績を生み出すとともに、高精度での手術の実践により、15年間における再置換率1%未満という極めて優れた成績を残してきました。

2014年1月からスタートした人工関節センターは、臨床部門、研究開発部門、手術教育部門、オステオサイエンス部門という4部門から構成され、臨床・研究・教育の統合型センターを大きな特徴としています。

  1. 臨床部門は高度の人工関節手術を患者さんに提供する部門であり、患者さんの痛みからの解放と日常生活動作の改善、そして健康寿命の向上を目指しています。

  2. 手術教育部門では、手術手技研修センターとの連携のもとに、献体を用いた手術トレーニングによって、未来の人工関節医療を担う医師や看護師の技術向上をはかります。手術教育による手術技能水準の向上によって、手術成績のさらなる向上が期待されます。

  3. 研究開発部門では、医工連携研究を通して、オリジナルの次世代人工関節の研究開発を進めています。デザインや生体材料などの改良によって、より機能的で、より長持ちする人工関節の開発を行います。

  4. オステオサイエンス部門は、骨に関する基礎研究を行う部門です。愛媛大学に集結した骨関連領域の優れた基礎研究者が連携し、変形性関節症の病因・病態の解明や合併症の予防に取り組んでいます。

今後は、「より良い人工関節をより多くの患者さんへ」をコンセプトとして、高度の人工関節医療をできるだけ多くの患者さんに提供できるように努力していきたいと考えています。多くの患者さんがこのセンターをご利用になり、関節の痛みから解放され、快適な日常生活に復帰されること、それが私たちの願いです。

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