野元先生雑感

2016年05月20日

小満(しょうまん)ヒトの寿命は50歳 5月20日

5月20日 小満
草木が茂って、地に満ち始める季節である。庭の草木がよく茂り、草取りをしても、すぐにまた、次の草取りが必要になる。その分、草花が美しい。

 

ヒトの寿命は50歳 

動物学では「心拍数一定の法則」が提唱されている。哺乳類では小さな動物ほど心拍数が多い。マウスは20g程度だが1分間の心拍数は 600回程度で、サルでは250回程度、体の大きな象では40回である。寿命は、マウスは4~5年、サルは種類により大きな差があるが、10年から20年、象は70年なので、計算すると一生の心拍数は15億回になるという(「ゾウの時間、ネズミの時間」、本川達雄 中公新書)。これをヒトで計算すると心拍数は70回程度なので、寿命は約50年となる。能の「敦盛」に「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」とあり、ヒトの寿命は50年を目安にされていたようである。また、歯の寿命も以前は50年だったようで、60歳代の方は総入れ歯の方が多かった。自然界では歯が無くなると食物を摂れないので、その時が寿命となる。衛生学や医学の未発達の時代では、ヒトも「心拍数一定の法則」の範囲で50歳程度であった。

しかし、今の平均寿命は80歳を超えている。動物としての寿命からさらに30年がプラスされている。私たちが担当する病気の大半は、この30年間に起こる。寿命を考えると当然であるが、予防医学を含めて、医学は人生の後半の30年を生み出し、多く貢献している。

1 2