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2025論文紹介① 循環器画像診断(CT)
森川友郎 先生
大学院 2年生
Influence of deep learning-based super-resolution reconstruction on Agatston score
Tomoro Morikawa, Yuki Tanabe, Hiroshi Suekuni, Naoki Fukuyama, Wataru Toshimori, Hidetaka Toritani, Shun Sawada, Takuya Matsuda, Shota Nakano, Teruhito Kido
Eur Radiol. 2025 Mar 20. doi: 10.1007/s00330-025-11506-3. Online ahead of print.
【論文の紹介】
冠動脈石灰化の定量的指標であり、心血管イベントの予測因子としてもエビデンスが豊富なAgatstonスコアに対して、深層学習を用いた超解像画像再構成Influence of deep learning-based super-resolution reconstruction: DLSRR)が与える影響について検討した論文です。Agatstonスコアはエビデンスが豊富ですが、その豊富なエビデンス故に、1990年に考案されて以降、画像技術の発展にも関わらず、既存の方法で使用し続けられてきました。従来のフィルタ補正逆投影法(Filtered back projection; FBP)はノイズが多く、被ばく線量が高くなる欠点があります。DLSRRはそのノイズ低減効果、高い空間分解能によりFBPと比較し正確に石灰化容積を評価できる一方、Agatstonスコアには有意な変化は来しませんでした。ただし、リスク分類では小数の変化を認めたため、過剰診断、治療のリスクもあり、実際の臨床には注意が必要です。
【ポイント】
CTテクノロジーの進歩に伴い、Agatstonスコアについても、Photon counting detector CT (PCD-CT)や高精細CTなどを用いたより正確なプラーク評価分類の開発が期待されます。DLSRRはPCD-CTや高精細CTと違いソフトウェアを更新すれば利用可能なアクセサビリティの高い技術であり、今後、DLSRRを用いたより正確な石灰化評価を行ったリスク分類の開発に期待したいです。