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2025論文紹介② 循環器画像診断(PET)
大原健太郎 先生
愛媛県立中央病院/住友別子病院 医員
Clinical significance of splenic switch-off in adenosine triphosphate 13N-ammonia positron emission tomography in patients without coronary artery disease.
Ohara K, Kawaguchi N, Okayama H, Ueda H, Ueno R, Hirai K, Tanabe Y, Matsuda M, Kido T, Inoue T, Kido T.
Jpn J Radiol. 2025 Mar 29. doi: 10.1007/s11604-025-01762-0. Online ahead of print.
PMID: 40156740
【論文紹介】
Splenic switch off (SSO)はMRIやPETにおける適切な薬理学的負荷の目安とされています。従来の研究はSSOの有無とmyocardial flow reserve (MFR)、myocardial blood flow (MBF)の関係を冠動脈疾患(CAD)のある人を中心に調査されてきましたが、CADのない人におけるSSOの研究は十分に行われていませんでした。今回、CADのない症例群においても、SSOのある群はSSOのない群と比較して、MFR・stress MBFが有意に高く、SSOがCADのない症例群においても適切な薬理学的負荷のマーカーとして使用できる可能性が示唆されました。
【ひとこと】
負荷心筋血流検査の定量値を解釈する上で、十分負荷が達成されたかは重要な前提条件です。SSOの有無を確認することで負荷不十分な症例を識別しやすくなり、適切な定量値の解釈につながります。
また、CADがない症例において、SSOが陽性にも関わらず、MFRが低い場合には微小循環障害(CMD)が原因として考えられます。SSOはCMDの診断にも役立つ可能性があります。