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放射線科教授 望月 輝一 から皆さまへ

はじめに
(久々にホームページご挨拶を更新しました。)
平成22年度がスタートしました。私たち愛媛大学放射線医学教室にも4名の新入局員を迎えることが出来ました。読影室や病棟、放射線部では新人の看護 士、放射線技師の皆さんも加わり若いパワーがあふれています。 「忙しくも明るい雰囲気」があふれています。医師不足に直面している1地方大学としては大 変ありがたい事です。きっと立派な放射線科医になって活躍してくれることと思います。(大事に、そして優しく厳しく、絶対一人前以上の放射線科医に育てます!!)
節目々々に目標を立てて
ジョン・レノンのクリスマスソングに「Now, this is Christmas, what have you done? (さあクリスマスだよ、今年は何が出来たのかい?)」ってフレーズがあります。この曲を聴くたびに自分に「今年は何が出来たのか」を問いかけられているよ うな気分になります。節目節目に目標を立ててみると、次の節目のときにその答えが出ます。胸を張って、「こんな事が出来たぜ!!」、とか「う~ん駄目だっ た」とか。目標にはいろいろあります。具体的で、頑張り次第で達成できるものから、現実的ではない大きな夢まで・・。欲張っていろんなレベルの目標・夢を 沢山もっても良いのです。いつか叶える目標や夢があるって良いですよね。
癌治療の推進を目指して
私たちは “癌治療の推進”を目指しています。癌は、日本人の2~3人に1人が罹患するという“克服すべき国民病”とも言えます。 癌治療の3本柱は、外科的切除、 化学療法 (抗癌剤)、放射線治療です。 癌治療を推進するためには、これら3本柱の専門家、即ち、腫瘍外科医、化学療法の専門医、放射線治療医の育成が急務であ り、国からのサポートもあります。 放射線科医の癌診療への貢献は、診断と治療の両面にあります。 早期の癌診断とともに、的確な進展度の診断が治療方針 と治療成績に直接影響をあたえます。 技術的には、両者とも高い精度で可能となっています。
CT、MRI、PETを中心とする画像診断機器の著しい発展と共に、放射線治療機器(リニアック)も格段の進歩を遂げています。CT画像を用いた正確な 治療計画の作成による3次元的放射線治療は、癌に放射線を集中させ、周囲の正常臓器への放射線を最小限にすることができるため、副作用が少なく局所制御が 出来ます。“切らずに治す、患者に優しい治療法”として注目されているわけです。
私達のポリシー
私は、初代・濱本研教授、2代目・池添潤平教授の後を受け、2004年1月1日より、3代目の愛媛大学医学部放射線科教授に就任致しました。 今年 (2010)で早7年目になりました。日々の診療に励む一方で、大学病院としての使命である教育と研究、そして世界の最先端レベルで地域医療を支える“実 力ある放射線科医”の育成に力を入れています。 2大目標に「地域医療への貢献」と「研究成果を世界に発信する」を掲げ、「信頼される放射線科」をめざし ています。
医師不足について
医師不足を改善するための方策が様々な点から練られ、討論されています。私は地方大学の臨床教授として以下のように考えます。 地方の医師不足に関して は、卒後研修が十分に母校でできること —–インターネットで情報が世界中を同時に駆けめぐるグローバルな時代では、地方にいても最先端の医療の研修が十分にでき、さらに仲間と共に競い合 いながら自分を磨くことができることは、母校での研修の利点であること—– を学生に伝える。 母校での研修のメリットを学生にアピールする一方 で、日頃の実習(ポリクリ)では、十分に教える姿勢を示して安心感を与え、実際に一人前以上の実力を持つ人材を見せてあげることだと思っています。 先ず は、卒業試験と国家試験に合格して貰い、次に大学をあげて愛媛に残って貰い、更にできれば放射線科に来てね、歓迎するよ、っという姿勢でいます。
愛媛大学医学部卒業生には、「ずっと愛媛で働いて欲しい」と言うのではなく、自分の一生のキャリアの中で一時は(多い方が良いけど・・)自分の学んだ愛 媛に貢献して欲しいな、と思うのです。まあ、愛媛でなくても日本のどこでも、もっと言えば世界のどこでも元気に活躍してくれれば良いですけどね。
放射線科医へのお誘い
2004(H16)年1月の教授就任以来、新研修システムの導入の影響もあって、 3年間は放射線科への入局ゼロが3年間続きました。 暗黒の3年を やっと抜け出して2007(H.19)年に初の新入局員5名を迎え感激しました。続いて2008(H.20)年4月にも4名の新入局員を迎え、更に今年度 (H22)も4名の新入局員を迎えることが出きました。本当に嬉しい限りです。日頃のポリクリやクリニカル・クラークシップ(クリクラ:ポリクリ後の希望 ローテーション)、卒後研修など、医局員みんなで一丸となって勧誘した賜と思っています。新入局員を迎える事は教授就任以来一番のうれしい出来事でした。  関係各位にはこの場を借りて厚くお礼申し上げます。
学生や卒後研修ローテーターとの接点は、大学病院内だけではなく、多くの関連研修病院の先生方にもあります。2年間大学病院のみの研修コースをとる人よ りも、関連病院で研修を受ける人の方が多いこともあり、これからも関連病院の先生方の協力が益々重要となってきます。卒後ローテーターが放射線科に回って きたときには、どうぞ、皆さんの活躍を見せてあげると共に、 親切丁寧に教えてあげて下さい。そして、放射線科に興味のありそうな研修医には、積極的に勧 誘の声をかけてみて下さい。1人でも多くの人に入局して頂きたいと思います。
世界を舞台に活躍する
愛媛大学放射線科は、臨床現場での業務は互いにオーバーラップするものの研究面では、MR/神経放射線、胸部/心臓、腹部/IVR、核医学、放射線治療 に便宜上グループ分けしています。各グループは、チーフを筆頭にみんなが世界で活躍しています。具体的には、北米放射線学会(毎年5~15演 題:RSNA, Radiological Society of North America)、ヨーロッパ放射線学会(毎年3~5演題:ECR, European Congress of Radiology)、磁気共鳴医学会(毎年2~3演題:ISMRM, International Society for Magnetic Resonance in Medicine)、米国核医学会(毎年2~5演題:SNM, Society of Nuclear Medicine)、アメリカ放射線腫瘍学会(毎年1~2演題:ASTRO, American Society for Therapeutic Radiology and Oncology)、心血管CT学会(毎年3~6演題、SCCT, Society of Cardiovascular CT)、アメリカ循環器病学会(毎年1~2演題, AHA, American Heart Association), アメリカ心臓病学会(毎年1~2演題, ACC, American College of Cardiology) 等、毎年沢山の国際学会で発表し活躍しています(20~40演題/年)。
最後に
高校生、医学生、研修医の皆さん、そしてJ-ターン、U-ターンを考えている皆さんも、診療の中で、画像診断の中心的立場にあり(縁の下の力持ち)、注目 される癌治療の中心の一角をになう放射線科に是非興味を持ってください。そして、自然豊かな愛媛で、我々と一緒に仕事をしませんか。 「愛媛から世界に発 信する、教育・診療・研究」を実践してみませんか。
愛媛大学医学部放射線科教授 望月輝一 (もちづき ・ てるひと)