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2022論文紹介⑥ 乳房画像診断(MRI)

松田恵 先生

愛媛大学医学部附属病院 講師

 

Utility of synthetic MRI in predicting pathological complete response of various breast cancer subtypes prior to neoadjuvant chemotherapy
Megumi Matsuda, Naoki Fukuyama , Takuya Matsuda, Shotaro Kikuchi, Yasuhiro Shiraishi, Yoshihiro Takimoto, Yoshiaki Kamei, Mie Kurata, Riko Kitazawa, Teruhito Kido

Clin Radiol. 2022 Nov;77(11):855-863.
doi: 10.1016/j.crad.2022.06.019. Epub 2022 Aug 30.

 

 

【論文の紹介】
この論文では、術前化学療法の対象となる乳癌を対象に、治療前に撮影したSynthetic MRIの画像を用いて、T1値、T2値、PDなどの定量値、これらの各定量値の標準偏差を測定し、術前化学療法の治療効果の予測に有用かどうかを検討しています。本研究では、これらの測定値のうち、腫瘍内の壊死や不均一性などと関連していると思われる造影前のT2値のSDの値が術前化学療法のpCRを予測する上で有用な可能性があるという結果が得られました。

 

【ポイント】
術前化学療法の対象となる乳癌の患者さんでは、術前化学療法を実施し、十分な効果が得られた場合には、予後が良好と考えられています。一方で、術前化学療法の施行には少なくとも数ヶ月の比較的長期間の時間を要すため、効果が不十分であった場合、次の治療を行うのが遅れ、転移などを来してしまう可能性もあります。これらの理由から、乳癌の術前化学療法の施行において、治療開始前に効果を予測することは患者さんの治療方針や予後を考える上で非常に重要です。本研究では、検討した病変の数が少ないということもあり、実臨床でこれらの結果を活用するにはまだまだ解決すべき課題がありますが、今回の研究でSynthetic MRIから得た定量値が術前化学療法の治療効果予測に有用な可能性を示唆することができたことは、非常に有意義なことであったと考えています。今後も、引き続きより詳細な検討を行っていきたいと思っています。