泌尿器の病気MEDICAL INFORMATION
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎とは
頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱痛などの症状をきたす、難治性の膀胱疾患のことである。非常にめずらしい病気と考えられていましたが、最近の調査では患者数の頻度は0.1~1.0%とされ、決して非常に珍しい病気ではないことがわかってきています。性別では女性に多いといわれています(しかし時に男性患者さんもいらっしゃるようです)。また40歳代から70歳代の方に多くみられるといわれています。
[間質性膀胱炎の定義]
1.症状:頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱痛など
2.特徴的な膀胱鏡所見:ハンナ潰瘍もしくは膀胱拡張後の出血
3.他疾患の否定
・泌尿器科疾患
膀胱がん、過活動膀胱、神経因性膀胱、膀胱結石、放射線性膀胱炎、前立腺・尿道疾患:前立腺肥大症、前立腺がん、尿道憩室、尿道狭窄、尿路性器感染症:細菌性膀胱炎、膀胱結核、尿道炎、前立腺炎
・婦人科疾患
子宮内膜症、子宮筋腫、膣炎、更年期障害
・その他
神経性頻尿、多尿
以上の3条件を満たすことが基準となっています。
間質性膀胱炎の症状
膀胱痛
間質性膀胱炎で最も特徴的な症状!!(しかし痛みを訴えない方もいます)尿が膀胱に溜まってくるに伴い、膀胱不快感・圧迫感、痛みが増強し、排尿後に軽減・消失する。膀胱だけでなく、会陰部や尿道の痛みを伴うこともある。
尿意亢進・尿意切迫感
膀胱の知覚が亢進したためにおこると考えられている症状です。排尿直後から尿意を感じはじめ、蓄尿とともに尿意は増悪し強い尿意または膀胱不快感・圧迫感を感じ、膀胱痛となる。排尿すると軽減する。
頻尿
トイレの回数が多く、1回の尿量が少ない。夜間頻尿を伴うことが多い。
症状は慢性的に経過しながら、増悪と寛解をくりかえしていきます。
間質性膀胱炎の検査
尿検査
特徴的な所見はありません。症状は急性細菌性膀胱炎に似ていますが、膀胱炎の所見(膿尿)が軽度であったり、尿培養で細菌は検出されません。
排尿日誌
1回の尿量、排尿回数、飲水量、痛みの有無、尿失禁の有無を記録します。
膀胱鏡検査
麻酔下での膀胱水圧拡張時の所見が診断確定に重要となる。麻酔をかけて、痛みを抑えた上で、水圧で膀胱を拡張していくと、膀胱に散在性の出血(五月雨状出血、点状出血)が認められます。またハンナ潰瘍という潰瘍が確認される場合もあります。これらの所見を認めた場合に間質性膀胱炎と診断されます。
膀胱生検
麻酔をかけて膀胱鏡検査を行った際に、同時に生検を行っています。必須の検査ではないともいわれていますが、当院では膀胱がんとの鑑別の目的もあり行っています。
間質性膀胱炎の治療
膀胱水圧拡張術
麻酔下で、一定の圧力をかけながら膀胱に生食をためていきます。診断と同時に治療目的で行っています。
内服治療
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、抗うつ薬、鎮痛薬、抗菌薬などを症状にあわせて処方しています。しかし、内服治療だけでは症状の改善が困難な患者さんもいます。
膀胱内薬液注入療法
DMSO(Dimethyl sulfoxide)、PPS(Pentosanpolysulphate sodium)、レジフェラトキシン、ボツリヌストキシンなどの膀胱内注入療法が ありますが、現段階ではDMSOのみが保険適応とされております。