大学病院で一般外来研修は可能なのか?-愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター

大学病院で一般外来研修は可能なのか?

大学病院で一般外来研修は可能なのか?
〜愛媛大学附属病院総合診療科で一般外来研修を経験して〜

U先生(アイプログラム初期研修医2年目)

私は愛媛大学病院を中心とした初期研修を選択し、1年目は大学病院内の診療科で研修しました。2年目は選択科として大学病院以外での研修を行うことができ、県内の市中病院や県外の救急病院での研修も行ってきました。しかし、必須である一般外来研修の進み具合が遅れており、センター長のお勧めもあり、半日ではありますが大学病院総合診療科の外来で診療にあたる機会を得ました。上記病院の研修と比較を行いながら感想を述べていきます。

まず、今回診察をさせて頂いた総合診療科の外来患者は、他科ないし他病院からの原因不明の不定愁訴ということで紹介を受けた方々でありました。言わば診断のついていない、紹介状を持たない初診患者と同じ感覚でした。症状は腹痛、発熱や全身疼痛、主訴のない検査上の異常値のみなど多岐にわたる健康問題を抱えており、各患者の現病歴を詳細に聴取する必要性を感じました。これは特に総合病院や大学病院の専門診療科の研修と対照的で、既にある程度診断名の分かっている疾患の治療ではなく、全く不明の健康問題を相手にしており、中小規模病院の外来や2次救急に通じるものがあると感じた。しかしこれら以上に不明な点が多く、より病気の知識と思考することが求められ、内科医としての醍醐味を味わうことができ非常に興味深く、充実した時間を過ごすことができました。特に内科を志す者にとっては患者さんの病歴を時間をかけて聴取する聞く力、そこから病名を仮定し診断を絞っていく思考力、診断力を学べるため有意義であると思われました。またその仮説が合致していたときの喜びは何物にも得がたいものであると確信できました。

センター長より症例ごとに濃密なフィードバックを受けるU先生。

最後に、「大学病院で一般外来研修は可能なのか?」についてですが、「十分可能」です!

≪センター長よりコメント≫
令和2年4月より導入された一般外来研修には多くの目的や目標があり、様々なことを学べます。一般外来研修は、内科、総合診療科、外科、小児科のみで行うことができ、臓器別診療科での外来が認められていない様に、多岐にわたる問題点に向き合い、解決することを意図しております。

総合診療科はどんな診療科なのか分かりづらいとよく聞きます。実際に、消化器内科を専門としております私も当初はその様に感じておりました。しかし、今では以下の様に大きく分類されております。①と③は対極的であり、全てが専門の総合診療医は少ないと思います。

①病院総合診療医(Dr. G的な臨床推論診断学)
②プライマリケア(内科系では臓器別専門性が叫ばれる以前の一般内科に該当)
③家庭医(在宅診療を含む)

地域医療研修中の在宅診療も必須研修となっており、求められている一般外来研修は②、①であり、大学病院総合診療科の役割が①と②の中間(やや①より)であることを考えると、答えは「大学病院で一般外来研修は可能である」となります。アイプログラムでは社会で最も求められている②を主体に研修して頂きたく、市中病院(地域医療研修中を含む)での一般外来研修を推奨しておりますが、大学での研修も相談に応じております。

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