研修医の一次・二次救急研修報告「時には撤退する勇気も必要」-愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター

研修医の一次・二次救急研修報告「時には撤退する勇気も必要」

アイプログラム(愛媛大学医学部附属病院を中心とした研修プログラム)では、救急研修の一環として、大学病院に隣接する愛媛医療センターで研修医が一次・二次救急の診療にも当たっております。
熊木天児センター長が指導医として同行することもあり、センター長から与えられたお題に応えるように、研修医の皆さんに経験談をレポートして頂きました。どの研修医も学びに繋がるしっかりとした研修を受けております。

第3弾でご紹介するのは、患者さんや家族の方が「何に困っていて、何が不安なのか」に気をつけながら診療を進めることの重要性を学べたという経験です。4日連続で投稿していきますので、ぜひご確認ください。

「時には撤退する勇気も必要」(2年目研修医 C先生)
 主訴が高血糖であり、基礎疾患として2型糖尿病、認知症のある80代男性を診察しました。糖尿病は近医で内服加療されていました。普段よりしんどそうな患者の様子を妻が心配して血糖測定したところ、440mg/dlと普段(300mg/dl前後)より高値であったため来院されました。来院時は簡易血糖340mg/dlでしたが、そのほか身体診察やバイタルサインに特記すべき所見はありませんでした。過去に受診歴がなく、全く情報がなかったため、妻の希望もあり、採血と検尿を受けて頂くことになりました。しかし、血管確保が難しく、排尿のタイミングではありませんでした。結局、ベッドで1-2時間ほど様子を見ましたが、全身状態に著変はなく、簡易血糖の再検で320mg/dlであったこと、翌日近医を定期受診の予定だったことから、帰宅の方針となりました。
 センター長より、明日受診が予定されており、必ずしも検査は必須ではなく今回は血糖の増悪がないことを確認すれば問題ないと指導されました。センター長のように状況を的確に判断して時には検査などを行わなくても帰宅させられると考えられるように、更なる教養と経験を身に付け実践したいと思います。

センター長からのコメント
そうですよね。何かしてあげないと「検査をしてもらえなかった」と言われがちですよね。しかし、開業医の先生は限られた資源で日常診療を行っています。ついつい、夜間救急だから「重症かもしれない、検査をしてあげないといけない」というバイアスに陥りやすいです。もちろん、その可能性を考えて真摯に向き合う必要はありますが、何に困っていて、何が不安なのかに留意して、しっかりと説明してあげれば案外と理解を得られます。これからもどんな思いで受診されているのかを、今まで以上に考えて診療にあたって下さい!

pagetopへ