研修医の一次・二次救急研修報告「マダニ咬傷対応のコツ」-愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター

研修医の一次・二次救急研修報告「マダニ咬傷対応のコツ」

アイプログラム(愛媛大学医学部附属病院を中心とした研修プログラム)では、救急研修の一環として、大学病院に隣接する愛媛医療センターで研修医が一次・二次救急の診療にも当たっております。
熊木天児センター長が指導医として同行することもあり、センター長から与えられたお題に応えるように、研修医の皆さんに経験談をレポートして頂きました。どの研修医も学びに繋がるしっかりとした研修を受けております。

本日は第4弾!マダニ咬傷についてです。4日連続の救急研修報告も本日で最後となりました。またの機会にレポートしたいと思います。最後まで、読んで頂きありがとうございました。これからも定期的に研修報告を行っていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

「マダニ咬傷対応のコツ」(2年目研修医 D先生)
 先日の救急外来でマダニ咬傷の方を担当しました。マダニ咬傷は愛媛県では救急外来で時折遭遇することがあります。マダニに噛まれることで皮膚炎を起こしますが、大きな問題となるのは感染症を媒介することです。代表的なマダニ媒介性感染症として、SFTS、日本紅斑熱、ライム病、ダニ媒介性脳炎などがあり、重篤となる場合もあるため注意が必要です。マダニ咬傷に対しては、まず皮膚に吸着したマダニを除去しますが、その際マダニの口器を残さないように気をつけなければなりません。マダニの口器は鋸歯状になっており、ただ引っ張るだけではうまく抜去できない構造になっています。そこで鑷子で口器周囲を把持し、回転させながら緩徐に引き抜くことで口器を残さずに除去することができます。あらかじめワセリンを塗布したり、施設に用意があればティックツイスターという器具を用いたりすることもあります。
 一度でも経験があれば迅速に対応可能な疾患は多くあります。愛媛医療センターでの救急診療支援研修では幅広い疾患を経験でき、対応に悩んだ時にも指導医の先生にすぐに相談できるので、非常に勉強になります。今後も同期と情報を共有しつつ知識を深めていきたいと思います。また、センター長のご提案で、医療センターの先生からもその後の経過を伺うことのできるフィードバックシステムが構築されているのもありがたいです。

センター長からのコメント
見事に除去できましたね。「一度でも経験があれば……」、まさにその通りですね。だから、総合臨床研修センターではシミュレーション教育を重視して、臨床推論の勉強会やハンズオンセミナーを開催している訳です。それから、同じくらいの視点で考えている研修医同士の情報共有ってとても大切ですよね。平日の夜間は毎回研修医4人で担当しており、全てを共有するのは難しいにしても、フィードバックを終えた経験談を10人分くらいは共有できているのではないでしょうか?これからも、情報共有して下さい。我々指導医もリアルタイムでのフィードバックに努めます!

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