研修医の一次・二次救急研修報告「病歴聴取中のアナフィラキシーショック:マンパワーは力なり」-愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター

研修医の一次・二次救急研修報告「病歴聴取中のアナフィラキシーショック:マンパワーは力なり」

アイプログラム(愛媛大学医学部附属病院を中心とした研修プログラム)では、
救急研修の一環として、大学病院に隣接する愛媛医療センターで研修医が一次・二次救急の診療にも当たっております。
熊木天児センター長が指導医として同行することもあり、センター長から与えられたお題に応えるように、研修医の皆さんに経験談をレポートして頂きました。どの研修医も学びに繋がるしっかりとした研修を受けております。

本日は第5弾!アナフィラキシーショックへの対応を通しての学びとなります。
5日連続の救急研修報告も本日で最後となりました。またの機会にレポートしたいと思います。
最後まで、読んで頂きありがとうございました。
これからも定期的に研修報告を行っていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

「病歴聴取中のアナフィラキシーショック:マンパワーは力なり」(2年目研修医 E先生)
 私が担当したのは、蕁麻疹と発熱を訴える10代男性でした。発熱外来でSARS-CoV2抗原検査が陰性であることを確認した後に、一般救急外来を受診しました。診察順にお呼びすると、お母さんと歩いて入室されました。全身蕁麻疹が見られましたが、意識は清明で受付時のvital signも正常でした。アナフィラキシーは否定的と考え、病歴聴取と身体診察を開始したところ、突然意識を失い始め、アナフィラキシーを疑いました。別室で研修医の指導にあたられていたセンター長に直ちに報告すると、急行して下さいました。まずは、センター長の指示のもと、多くの人を呼びました。男性看護師とセンター長が患者さんをストレッチャーに担ぎ、救急処置室へ搬送しました。ほぼ同時に救急カートが到着し、アドレナリンを準備する間、私は救急ABCDの確認を任されました。そして、初めてアドレナリン0.3mlを大腿外側広筋に筋注しました。すると、応答可能な意識レベルに戻りました。その後もルート確保と生食投与、下肢挙上、ポララミンとファモチジン、ヒドロコルチゾンを投与しました。その結果、意識レベルは会話できるまで回復し、経過観察の目的で入院されました。
 今回の緊迫感のある貴重な経験を通して、緊急時はとにかく人を集めること、困ったときは躊躇せず人に聞く、人を頼ることが重要であるとご指導いただきました。また、ABCDを確認し、適切な対処をした後に、エビデンスレベルは高くないもののH1/H2ブロッカーとステロイド投与についても学びました。これまでに、新型コロナウイルスワクチン接種の業務にあたる際に、アナフィラキシーの勉強はしておりました。しかし、まさかウォークインで入室された方が目の前で意識を失い始めるとは思ってもおりませんでした。突然やって来るかもしれないアナフィラキシーに迅速に対応できるように、シミュレーションを繰り返しておきたいと思います。

 

pagetopへ