野元先生雑感

2017年07月19日

小暑(しょうしょ)進路の決め方 7月7日

7月7日 小暑 進路の決め方

今年の小暑は7月7日で、七夕である。小暑は「これから本格的に暑くなる」ことを意味するが、この時期は梅雨の終わりで、大雨となることが多い。今年は九州北部で大きな被害がでており、早い復興を祈りたい。伊予は天候が穏やかで、恵まれていると感じる。

 

進路の決め方

私は、この4月から名誉教授の称号を頂いたが、特命教授として、ひきつづき、診療、教育、研究を担当している。先日の実習で進路の決め方について質問があったので、取り上げてみたい。

卒業して、どこで研修すべきか、どの科をローテンションすべきか、3年目以降、どの分野を自分のテーマにすべきか、いくつもの選択が出てくる。またその後も、仕事をする医療機関、研究施設、あるいは海外の施設など、多くの選択が出てくる。進路に迷うことも少なくないと思うが、私はあまり、深刻になる必要はないと考えている。幸いなことに、私たちはどの分野に進んでも生活に困ることはない。どの分野でも贅沢しなければ、暮らしていくことはできる。医学医療が一生の職業となるので、自分の興味の持てることを選択するのが最もよいと考えている。

私は学生時代は内分泌をテーマにしたいと考えていた。卒業後は内科学講座を選択し、内分泌のジャーナルを購読していた。卒後研修中に学会報告した症例が舞踏病で、ドパミン受容体拮抗薬が大変よく効いて患者さんに喜ばれ自分でも感激した。ドパミンは内分泌の分野でも成長ホルモンやプロラクチンを調節していることが研究中であり、同じ物質が脳内で運動と内分泌を調節していることから、ドパミンのことを調べはじめた。舞踏病の髄液中のドパミンを測定したいと考え、生理学講座と薬理学講座で測定方法を学んだが、このことがきっかけとなり、その後の診療と研究のテーマにつながっている。特別に何かをめざしたわけではないが、興味を持って取り組んでいたところ、多くの方に指導、支援をしてもらうことができた。その後は自分がしてもらえたことを、同じように、少しでも皆さんを応援できればと考えて勤務している。

頂いた奨学金の条件や実家の医療機関を継いで発展させることを要請されていたり、いろいろな条件もあると思うが、その状況も含めて自分がやりたいこと、面白いと思うことを選択するのが一番と考えている。面白いことであれば、一生楽しく続けられる。