野元先生雑感

2016年12月20日

小雪(こゆき)予後について 11月22日

11月22日 小雪  予後について
11月は後半になり冷え込んだ。東京では54年ぶりに雪が降っている。東京は交通が整備されて緻密に運行されて便利であるが、その分、大雨や雪の影響を受けやすい。愛媛は気候が穏やかである。名前に愛と媛(ひめ姫)がつくこともあり、暖かいイメージを持たれるが、意外と冷え込むことがある。しかし、大雨は無く洪水も起こらない。台風は無くたまに来てもたいしたことはない。私は九州から赴任したが気候の穏やかさを感じている。

 

予後について

皆さんは、患者さんに病気の説明を求められることが多くなってきたと思う。急性疾患の肺炎や髄膜炎などでは命が助かるか、助かったときには後遺症の有無や程度が中心の課題となる。慢性疾患では自分と家族の人生設計に対する見通しが、また年配の方であれば、老後の設計が課題となる。予後の話をするには各世代に対する理解が必要となる。

子供のときには大人であることのイメージを作っていたと思うが、自分が20歳になってみると、子供のときに想像していた実感はわかなかったと思う。これはいくつになっても同じらしく私は60歳になるとゆったりとなる時期と考えていたが、全く実感はない。次の仕事のことを考えている。それならば寝込んだ時が老後かもしれないが、寝込まなければ老後はないことになる。しかし寝込むと回復する日を心待ちにするだろう。やはり、悠々と暮らす老後はないことになる。ということは、老後は概念であり実在はしないことになる。名古屋に金さん銀さんというお元気な双子の長寿姉妹がおられた。100歳の誕生日に市長からお祝いを送られたときに、「何に使いますか?」との質問に、「老後の蓄えにします」と答えられたという。ユーモアに富んだ方だったので、楽しく言われたのかもしれないが、私は本気で言われたのではないかと考えている。

病気をしてよかったという方がある。回復できないことも少なくないが、命の価値や自分の家族、自分を世話してくれる方ことなど、いろいろなことを考える機会になり得難い体験をされる。私たちが同じ体験をすることは多くないが、どのようなことを考え過ごされるかを想像しておくことは必要で、少しでも応援できるように役割を果たし、有益な一言を言えるように準備しておいてほしい。