野元先生雑感

2016年04月22日

穀雨(こくう)大学での研修の在り方 4月20日

4月20日 穀雨
雨が降って百穀を潤すことを意味する。確かにこの季節は木々の成長は早く、庭の草花も勢いを増している。

 

大学での研修の在り方

皆さんは卒業して大学病院や基幹病院で研修を始めたところである。卒後2年間の研修は法律で定められており、今後、医師として働くために研修を受けることが必須となっている。これに対して現在話題となっている専門医制度は法律とはなっておらず、制度が固まるまでには少し時間がかかりそうである。

私は大学の職員であり、一人でも多くの皆さんが大学病院で研修を受けてもらえるように働きかけている。また、皆さんの研修が実りあるものになるように努力している。大学の良さは医師の多いことであり、一人一人が希望する研修を自由に選べることである。診療を担当する時には、医師として必須の業務は担当することが必要だが、しかし、医師が多いので自分の希望する仕事や研究をすることができる。それ以外の業務は指導医や同僚が担当してくれるし、だれもしてくれない時には、科長が責任をもって担当する。皆さんは研修を十分に受ける権利がある。何が自分に向いているかはやってみないとわからないことが多い。面白そうと感じたらとりあえずやってみて、そのあとで決めるとよい。給与の条件はやや少ないかもしれないが、自由に自分のやりたいことができるのが大学の良さであり、皆さんが大学の将来に責務を感じて希望しない業務を担当する必要はない。大学は皆さんが学ぶためにあるのだから。

現在しばしば地域医療が話題となるのは知っていると思う。私は研修医の時に希望して島しょ部の診療所へ赴任した。また船で毎日島から島を回り、診療する経験をさせてもらった。地域で働くと患者さんや地域社会の皆さんに触れ合う機会が得られ、また幅広い病気を担当できて楽しい。しかし、皆さんが義務感から地域へ赴任する必要はないと考えている。現在は自分が希望する勉強や研究、あるいは学会活動を学び、その後に地域で仕事したいと考えたら、赴任すればよい。

医師は責任ある仕事であり、自分の判断で行動し、その結果には責任を負う必要がある。このことは即ち、自分で考え、今、自分がするべきこと、しておきたいと希望することをすればよいということである。

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