野元先生雑感

2017年02月03日

立春(りっしゅん)少子化社会と大学 2月4日

2月4日 立春

今週も冷え込んでいるが、幸い、雪の積もることはなく、穏やかな気候である。最近は霜柱を踏んで歩くことがなくなった。舗装が進んで土の上を歩くことが無くなったためと思うが、あるいは、地球温暖化の一つの徴候であろうか。

 

少子化社会と大学

日本では各県に一つ以上の公立大学が設けられている。明治政府は藩を合併させて県を設け、帝国大学を設立した。昭和20年代には県単位で大学が設けられ、昭和50年代の前半には全ての県に医学校が設けられている。世界的には日本は人口に対する大学の数は多く、医学部についてもドイツの2倍以上である。その結果日本では大学病院は近くにあるが、規模は小さくなっている。

平成28年の出生数は98万人であった。昭和40年代後半から50年頃の出生数は200万人であり、全県に医科大学が設けられた頃に比べると出生数は半分となっており少子化は急速に進んでいる。このため大学の学生定員の削減は全国的に行われており、これに伴い、医学部の教員数も削減することが求められてきた。ただ、高齢者の人口は増えているので、医療現場ではほとんどの診療科は、やはり忙しい。特に地域医療では医師を含めて医療スタッフは十分でない。このため、大学全体とは逆に医学部では地域医療に対応するために学生定員を増している。教員についても寄付講座(実際は寄付ではなく、医師の確保が条件となる例が多い)としてスタッフを増やしている。さらに病院収入や寄附金、厚労省やAMEDなどの外部資金によりポストを設けて医師や研究者を確保している。定員が減っていくのは寂しいが、しかし運営上の自由度は上がっていくのでマイナスだけではない。人間万事塞翁が馬である。英国では1990年代に医学部および病院を合併させて大きな単位にした。当初は皆不安を訴えていたが、一つの研究、また診療チームは規模が大きくなり、成果が上がっている。

大学は多くの面で自由度の高いところが特徴で、また魅力である。皆さんが大学での活動を生かして、大きく飛躍することを期待している。