野元先生雑感

2016年02月23日

雨水 (うすい)職業学校 2月19日

2月19日 雨水
雪は雨に変わり、氷が溶けて水に変わる時期で、農耕の準備を始める目安とされていた。今朝は4度で、天気は良い。午後からは下り坂らしい。

緑が美しくなってきた。医学部には「哲学の道」がある。研究棟と病院の間にある小道で、両側に並木が並んでいる。冬にはすっかり葉が落ちで、枝のみとなっていた木々が、春には芽吹いてくる。夏になると葉が茂り、道が狭くなってくる。秋には葉が色づき、夕日に照り輝く。晩秋には葉が落ちて、道路が広くなる。紅葉が美しく、また、人生を考えさせるので、「哲学の道」と呼ばれる。病理学の能勢名誉教授の提案である。事務棟の増築改装がようやく着工され、「哲学の道」も整備されつつある。

 

職業学校

大学では学問を広く修めることが大きな目的である。しかし、医学部については、ほぼ全員が医師をめざしており、私たちも医師を育てるカリキュラムを作成して講義・実習を進めている。このため医学部への入学は医師になることに直結しており、医学部は職業学校ともいえる。毎日の勉強は範囲が広く、量も多く、大変と思う。確かに教科書が増え、インターネットも使えるようになって教材は充実して学びやすくなったといえるが、その分、要求される量は増えている。国家試験の問題を見て、範囲の広さを感じると、気の遠くなる時があるかもしれないが、その時には、医学部は職業学校であり、自分は医学で生計を立て自分と家族を支えることを思い出してほしい。基礎医学の基本である解剖学、生理学、生化学は病気を理解するときに必須であり、薬理学では治療に必須の薬が数多く出てくる。また臨床科目では数多くの病気を学ぶ必要がある。覚えきれないと思うが、卒業しても毎年、新しい薬と疾患概念が登場しており、新しい薬や病気を学ぶことが医学の進歩について行くことなる。

新しいことを学ぶことをやめた時が、私たちが医師を引退するときになる。幸いに、みなさんは学ぶことが大好きである。また、才能と健康に恵まれた幸運な人である。そうでなければ、ここに立ってはいない。勉強が大変と感じた時には、自分は職業学校に学んでいることを思い出してほしい。