日本プライマリ・ケア連合学会四国地方会

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愛媛大学医学部 地域医療学講座 基礎配属 2年生発表

愛媛県在住高齢者の「自分らしい生き方」と主観的幸福感・健康感との関係

  • 愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学
  • 愛媛大学医学部医学科2回生

原田克己2,1、本田遼佑2,1、柳原千秋2,1、原諒真2,1、二宮大輔1、熊木天児1、川本龍一1

【背景】
高齢者にも働く場が用意されている事により、本邦における医療問題を解決する糸口となり得る。

【目的】
高齢者の働く意欲および現在のやりがいとしている事が主観的幸福感・健康感に影響を及ぼしているのかを明らかにする。

【方法】
西予市立野村病院の60歳以上の外来通院患者を対象にアンケート調査を行った。統計解析に関してはSPSSを用いた。

【結果】
相関関係が認められた項目は、「働く意欲の有無」と「幸福感」、「幸福感」と「健康感」、「生きがいの有無」と「健康感」、の3組であった。つまり、退職後に働く意欲のある方や、簡単にやりがいを見つけられると思っている高齢者ほど主観的幸福感・健康感が高かった。

【考察】
まだまだ働けると考えている高齢者に対して、職場を用意する事はその人の主観的幸福感を高めることに効果的であると言える。また、退職後にやりがいを見つける事が簡単だと思っている高齢者は、現在もやりがいを持って生きていると考え、主観的健康感を高めている。一方、退職後にやりがいを見つける事が難しいと考えている高齢者に対しては、社会的に職場などの居場所が用意される事により、生きる上でのやりがいを見つける一つの機会となり得る。

【結語】
高齢者に対して退職後の職場を用意する事は主観的健康感の増進に繋がると考えられた。

西予市立野村病院における患者医師間のコミュニケーションに関する調査

  • 愛媛大学医学部医学系研究科地域医療学
  • 愛媛大学医学部医学科2回生

原諒真2,1、原田克己2,1、本田遼佑2,1、柳原千秋2,1、二宮大輔1、熊木天児1、川本龍一1

【背景】
医療現場におけるコミュニケーションは不可欠要素である。しかしながら、医療現場においてコミュニケーションが必ずしもうまく取れているとは限らない。

【目的】
患者医師間のコミュニケーションに対する意識の差および患者満足度に寄与する因子を明らかにする。

【方法】
西予市立野村病院の医師7名および患者49名を対象に、コミュニケーションに対する意識および患患者満足度に寄与する因子についてアンケート調査を行った。なお、調査項目については患者の性別・年齢、医師の性別・臨床経験年数を含んだ。統計解析にはχ2検定(カッパ値)・多変量解析を用いた。

【結果】
患者医師間で『世間話(医療関連以外にコミュニケーションがあったかという項目)』のカッパ値が0.374と有意であった。コミュニケーションに対する意識に差はないと言え、患者満足度については多変量解析の結果から、医師の説明・指導が良いものであるかどうかが関係していた。また全項目を通して患者より医師の方がネガティブな回答をする傾向になっていた。

【結語】
部分的ではあるが、医師と患者間のコミュニケーションに対する意識の差および患者の満足度に寄与する因子が明らかになった。

【今後の展望】
本研究は年齢など地域的特性があり、対象数が少ないため、母集団を大きくしての調査が必要である。また、患者満足度以外に関する調査を行い、医療現場における環境整備に繋げたい。

地方医療従事者の身体的・精神的健康に関連する要因の調査

  • 愛媛大学大学院医学系研究科地域医療学
  • 愛媛大学医学部医学科2回生

本田遼佑2,1、柳原千秋2,1、原諒真2,1、原田克己2,1、二宮大輔1、熊木天児1、川本龍一1

【背景および目的】
現代日本で問題となっている高齢化は医療に大きく影響を及ぼしている。高齢化率は1995年の14.5%から2015年には25%まで上昇し、今年生まれた子どもが成人する2035年には33%にも増加すると見込まれている。また、医療費の増大が財政を圧迫し、特に労働時間の増加・過重労働は医療従事者をさらに疲弊させている。これは患者のQOL低下にも結びつき得るため、その医療従事者の負担の実態を知ることは重要である。

【方法】
今回の研究では、現場の負担の要因を明らかにすべく、西予市立野村病院の職員85名を対象に労働・生活習慣と主観的健康感の関係をアンケートにより調査し、得られた回答を分散分析・多変量解析を用いて検定した。

【結果】
「不安感の有無」「給与満足度」「夢の有無」「睡眠時間」「仕事の楽しさ」「やりがい」などが主観的健康感を規定しており、意欲や充実感が大きく関与していた。また、職種ごとの主観的健康感をみると医療事務などの群が低い値を示した。一方、給与満足度では医師が最も高い値を示した。

【結語】
今回の研究においては、医療従事者を疲弊させる要因をみることはできたが、その要因は職種により異なった。

【今後の展望】
今後は解析方法の検討、質問の尺度の統一が必要である。根本的な改善への糸口を掴むことを目標に、地域医療において多職種間の理解を深められるような研究を続けたい。