
消化器内科の中でも消化管診療では食道、胃、小腸、大腸という広い範囲を対象に診療と研究を行っています。胃がん、大腸がんといった悪性腫瘍から胃炎・胃潰瘍、炎症性腸疾患や機能性胃腸症まで幅広い疾患を扱います。また内視鏡検査を担当するところでもあり、内視鏡診断・治療のスキル向上も目指しています。緊急内視鏡検査といった救急医療の一翼を担うところもあり、当科のなかでは最も業務が多く忙しい分野ですが、消化器内科を目指す先生方が集まっています。県内の消化管診療の多くの割合を当科出身の医師が務めており、県内の主要病院には多くの同門の先生方が在籍されており、大学を中心とした連携ネットワークを構築しています。
診療の内容
消化器内視鏡を中心に診療を行っています。診療に加えて研修医や医学生の教育、専門医の育成、また新しい診療技術の開発などを行っております。また愛媛大学病院は特定機能病院であり、診断治療が難しい症例や、難治性疾患などを担当する役割を担っております。小腸内視鏡(カプセル、ダブルバルーン)超音波内視鏡など装備機器も充実しております。
研究の内容
研究内容は内視鏡を用いた診断,治療の開発ならびに消化器疾患の病態解明を目的として主に下記の分野の研究をすすめています。
消化管疾患の免疫学的研究
炎症性腸疾患の原因として腸管上皮や微生物産生物などに対する免疫反応が考えられています。これらを含む糞便より抽出した抗原、いわゆる盲腸細菌抗原より構成蛋白を解析し主要蛋白を同定しました。この蛋白を腸炎モデルマウスに投与したところ腸炎抑制効果がみられ、新たな治療法となるべく更なる検討を進めています。
門脈圧亢進層に伴う消化管合併症に関する研究
門脈圧亢進症に伴い出現する食道胃静脈瘤に対し、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)を行っています。EISは治療効果が高いものの、手技に熟練を要するため専門施設でのみ行われているのが実状です。そこで静脈瘤への硬化剤注入を容易にすべく、独自に補助器具(改良型透明フード)を開発しました。改良型透明フードを使用することで比較的容易にEISを行うことができ、当科での標準治療となっています。また門脈圧亢進症の小腸病変については、小腸内視鏡検査で細顆粒状の浮腫状絨毛が観察され、小腸吸収能に及ぼす影響について検討を進めています。