愛媛大学大学院 医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学

入局案内

入局について

なぜ入局するのか。入局の目的

皆さんは,外科医として一人前になるために,多くの時間と経験と勉強が必要になります.すなわち,たくさんの手術を執刀し,その助手を経験することが必要になります.特に,外科医としてキャリア開始後の数年は,絶え間なく手術の経験を積む必要があります.そのために多くの連携病院との関係性を持つ医局に入局し,医局の支援のもとで大学病院のみならず連携病院で勤務する環境を得ることが,若い先生にとって医局に入局する最大の目的と言えます.

入局するとどうなるのか

当医局には,愛媛県内の連携病院として,非常に手術症例の多い病院があります.入局により,それらの病院で仕事ができるよう医局から斡旋することが可能であり,十分な経験を積めるよう取りはからうことができるようになっています.
また,入局することで,大学病院勤務ができるようになります.当科では,肝移植や拡大手術を含めた,高度技能をともなう高難度手術を学べます.加えて,専門性の高い他科の医師との連携が得られ,さまざまな観点から病気についての理解を深めることができるのも,大きな魅力のひとつです.さらに,研究に興味がある場合には,大学に所属することで,大学のリソースを使って研究ができるようになると同時に,科学研究費などの外部資金獲得のための申請の権利が得られます.希望があれば,大学院生として学位取得の機会もあり,講座からの推薦により,短期・長期の国内あるいは海外留学も可能です.

一人前の外科医になるために

一人前の外科医になるとは,さまざまな定義があると思います.外科医にとって最も重要なミッションである手術を,少ない出血で,短時間に,適切に完遂させる「技能」を習得すること.治療困難症例に対して,丁寧な問診と診察,適切な検査の施行とその解釈から,原因を突き止め,迅速に対応する「知識」を得ること.あるいは,命に関わる診療をすることの多いわれわれの仕事において,患者や家族のニーズを的確にくみ取り,もっともよい診療環境を提供するため,社会的リソースをうまく活用できるようマネージメントする「管理能力」を身につけることなどがあげられるかと思います.ただ,これらのことは,なかなか目に見えてわかるものではなく,あいまいさをともなうことから,自分は果たして一人前になってきているのだろうかという不安を抱えることもあるかもしれません.そのときの指標として,専門医制度や学位取得が利用できると思います.当講座では,これらの資格取得を積極的にサポートします.

資格の取得について

専門医の取得

現在,医師免許取得後の各種専門医の取得は,社会的ニーズからも医師のキャリアアップとして必須となっています.愛媛大学では,日本専門医機構による新専門医制度の制定を受けて,愛媛大学外科専門研修プログラムを作成しました.このプログラムにのっとり,外科医として,まず取得すべき専門医資格である外科専門医を取得します.この資格は,これ以降の消化器外科専門医などサブスペシャリティー専門医取得に,ほぼ必須の条件となっています.当科では,連携病院と協力して,資格取得のためのバックアップ体制を取っています.
外科医としてめざすべき資格には,以下のものがあります.

  • 外科専門医(卒後5年目頃)
  • 消化器外科専門医(卒後8年目頃)
  • 消化器外科指導医(卒後12年目頃)
  • 消化器病学会専門医
  • 肝臓学会専門医
  • 内視鏡外科技術認定医
  • 肝胆膵外科高度技能専門医・指導医など

愛媛大学における外科専門研修プログラムの詳細は,総合臨床研修センターのホームページを参考にして下さい.

学位の取得

学位を取得するとは,学究活動の基礎を身につけることです.臨床医学はアートとサイエンスの両輪によって成り立ちます.医師は,人道的存在であると同時に,科学者たる必要もあるわけです.このうちのサイエンスを極めるためには,近年のEvidence based medicine (EBM)という言葉に象徴されるように,あらゆる情報を集め,自己の経験のみでは補いきれない情報処理能力と,処理された情報に基づいた問題解決能力が必要になります.そして,解決した問題を論文として情報発信する能力も求められます.この能力は,綿密な知識の整理とじっくりと長い時間をかけた深い思考による学究活動によって得られます.そういう意味で,大学における学位取得を目指し,その研究に費やした時間は,皆さんの将来にわたり,基礎となる医学的思考を培う貴重な時間となることでしょう.なお,大学院での研究テーマにとどまらず,日常臨床における情報発信としての論文作成は,各種専門医取得の条件でもあり,必須のスキルです.これらの能力を磨くためにも,ぜひとも学位を取得して欲しいと思います.

入局の時期

入局する時期は,卒業後,どの時点でもよいと思います.ただ,社会人として仕事をするにあたり,良好な人間関係を構築することは,極めて重要なことなので,外科をやりたいと思っているのであれば,入局の決断は早いほうがよいとも言えます.

キャリアパス

最後に

入局する最大のメリットは,外科医として活躍できる場を確保されるということです.臨床研修や専攻医など,医師としてのキャリアを始めたときには,多くの病院からのニーズがあります.しかしながら,専攻医終了後,5年,10年先を見通したとき,同じ病院で勤務できる医師は限られています.多くの時間と労力をかけて積み上げてきた,医師としての実力を遺憾なく発揮するためには,外科医として活躍する場が必要なのです.入局するとは,これらが保証されることにほかなりません.われわれは,研修医の皆さんの外科医としてのキャリアがスタートしたときから,将来に渡ってどういう外科医として活躍できるかを考え,これをサポートしてゆきます.

お問い合わせ

肝胆膵・乳腺外科学では,出身大学,経歴を問わず広く入局者を募集しています.
お問い合わせは surgery1@m.ehime-u.ac.jpまで.