地域医療学(総合診療科)

地域医療学(総合診療科)講座の紹介

地域医療学講座は、平成21年1月1日、地域での教育・研究・診療を目的として愛媛県からの寄附講座として設立され、現在、西予市立野村病院および久万高原町立病院に講座の地域サテライトセンターを設け活動しています。

地域における高齢化やそれに伴う疾病の複雑化、要介護者の増加、生活習慣病の増加等、国民を取り巻く健康問題は近年益々多様化しており、このような現状のなか地域における住民のニーズには疾病の診療にとどまらず、家族・職場・地域を視野に入れた幅広い医療活動が強く求められています。

本講座では、「地域に生き」、「地域で働く」医師を「地域を舞台に育てる」を合言葉に、地域に根付いた教育と研究、医療支援活動を行い、総合診療専門医の育成を目指しています。

研修プログラムの目的と特徴

  1. 主な研修場所は、地域における救急を含む一次、二次医療を担当する一般病院であり、紹介に片寄ることなく、初診を含め広く外来受診、入院を受け入れており、救急を含むcommon diseaseやcommon problemを十分に経験する機会を保障しています。
  2. 臓器別専門病棟でなく混合病棟での研修です。
  3. 指導医も臓器別専門医として指導をするのでなく、総合医として各科研修期間を一貫して指導にあたります。患者の諸問題から出発して学習をすすめる問題指向型学習Problem-based Learningを行いやすい環境を保障しています。
  4. 研修医自身のプログラム実践への関与が可能です。
  5. いずれの研修病院も地域医療を担ってきた歴史をもち、往診活動、保健予防活動などを展開しています。病棟医療だけでなく様々なフィールドにおける研修が可能であり、地域の保健・医療・福祉サービスの理解など、プライマリ・ケアの視点を身につけるのに適した環境を保障しています。
  6. 医師カンファレンスだけでなく各種コメディカルスタッフの参加するケースカンファレンスを定期的に行なっており、各種スタッフと協力して医療を行うチーム医療の姿勢を身に付けるのに適した環境を保障しています。
  7. 学習環境の保証、教育法の工夫として、研修医が文献や各種二次資料の検索を行なえるコンピューターを配備し、問題解決のための自己学習やEBMを実践できる環境を保障しています。
  8. より効果的な教育方法の開発に取り組み、マニュアル化し、研修に取り入れています。
  9. 研修内容は研修医の到達度に応じてステップアップしていくシステムをとっており、患者にとって安全で、かつ研修医も安心して研修が受けられる環境を保障しています。
  10. 精神的、身体的に健康で、経済的にも余裕をもって研修に専念できるように、適切な休暇、給料を保障しています。
  11. 指導医の各種研修への参加保障など指導医養成Faculty Developmentを重視しています。
  12. 指導医が研修指導にあたる時間を確保するとともに、屋根瓦方式による指導体制をとることで、研修医が十分な指導を受けられる環境を保障しています。

研修の具体例

年数 1年、2年、3年、4年、5年、6~9年
研修内容 初期臨床研修(2年)、総合診療科・内科中心の研修(3年)、自由研修(1~4年)
研修施設 臨床研修病院、地域中核病院、地方病院、診療所、希望医療機関、地域中核病院、地方病院、診療所

資格

  • 日本プライマリ・ケア連合学会認定医・家庭医療専門医
  • 日本内科学会認定総合内科専門医 希望に応じた専門医

    当プログラムでは、臨床研修を修了した3年目の医師向け「総合診療科専門研修コース」、「家庭医養成愛プログラム」と臨床経験5年以降の「地域医療生涯研修コース」を用意しています。
    研修内容は、愛媛大学医学部総合臨床研修センターの支援のもと、本コース参加者と研修医療機関との話し合いで決定します。また、定期的に本コース参加医療機関指導医と研修参加者の研修会を開催し、研修の振り返りと研修内容の充実を計ります。

経験目標

本コースは、地域医療を担う医師を養成するためのコースです。地域医療を担う医師には、一般的な疾患の診断と治療、慢性疾患の管理、急性疾患への対応のほか、訪問診療などの在宅医療や介護保険への関わり、健康診断、予防接種、健康増進と疾病予防、学校医や産業医活動など多岐にわたる対応が求められます。

大学病院ならびに地域医療を学べる関連医療機関(愛媛県内外の施設を1~2年間)をローテートしながら、住民のニーズに応じた健康上の問題を中心とした保健・医療・福祉などのあらゆる地域における要望に対応する技能の修得を目標としています。

当プログラムを修了した医師は、地域住民と患者のニーズに的確に応え、合理的で温かな信頼される保健医療サービスを自ら提供できるようになり、幅広い分野の人々と協働できることを目標としています。

指導医(講座構成員)

  • 川本龍一

    (教授:日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・指導医、日本超音波医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、米国内科学会上級会員(Fellow))

  • 熊木天児

    (准教授:日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医、日本内科学会認定医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、厚生労働省指定・卒後臨床研修指導医)

  • 二宮大輔

    (助教:日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医、日本内科学会認定医)

研修に関する行事

月曜日 抄録会
火曜日 病棟カンファレンス・褥瘡回診
水曜日 レ線カンファレンス・健康教室
木曜日 訪問カンファレンス
金曜日 病棟カンファレンス・総回診

研修終了後について

個人の希望に応じて愛媛大学の関連病院で勤務あるいは大学院進学

関連病院との連携

臨床コース 希望により、県内の教育病院で研修を積み、日本プライマリ・ケア連合学会や日本内科学会認定専門医取得後、さらに上の専門医取得を計ります。

総合診療専門研修Ⅰ・Ⅱの主な連携病院

東 予 十全総合病院、済生会今治病院
中 予 愛媛県立中央病院、松山赤十字病院、松山市民病院、済生会松山病院、久万高原町立病院
南 予 西予市立野村病院、西予市立西予市民病院、JCHO宇和島病院

専門研修の問い合わせ先

〒791-0295
愛媛県東温市志津川
愛媛大学医学部附属病院 総合診療科(地域医療学講座)