老年・神経・総合診療内科学-愛媛大学医学部医学系研究科

研究概要

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当講座の三木前教授・名倉元講師は早老症の代表的な疾患であるWerner(ウェルナー)症候群の原因遺伝子特定に中心的な役割を担いました。現在でも遺伝子関係、特に最近はヒトゲノムの研究、特に近年は高血圧など動脈硬化に関連したSNP(一塩基子多型)を中心に研究を行っています。

また動脈硬化に関しては、頚動脈エコーや脈波計などを使った研究も行っています。

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研究の実際例

1999年12月、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むことを目的にミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)が当時の小渕首相・日本政府の主導により始まりました。

このうちミレニアム・ゲノム・プロジェクトの疾患遺伝子プロジェクトの高血圧分野では当科三木哲郎前教授がまとめ役となり、愛媛大学を始め全国14施設からなる共同研究体を組織し研究を始めました。

その結果、次の4つのような成果を収めました。

4つの成果

1.高血圧関連遺伝子の同定

高血圧との関連が想定される307個の候補遺伝子上の機能性が明らかなSNP等に関して高血圧症例の関連解析を行い、高血圧関連遺伝子約115種を同定した。

2.動脈硬化関連遺伝子の同定

虚血性心疾患・頚動脈硬化・高血圧性腎障害・高血圧性心肥大・脂質異常症・動脈炎等の関連候補遺伝子50個を同定した。

3.食塩感受性

血圧の食塩感受性の評価・診断に有用なSNPの組み合わせを見出した。

4.血圧調節

新規の血圧調節経路を見出した可能性がある(ゲノムネットワーク)。

これらの成果により、将来の「患者個人に対する最適な投薬(オーダーメイド医療)等による治療成績の向上」に有用な結果が得られました。
成果となる英語の原著論文は33編であり、日本の高血圧遺伝子研究を牽引しております。

また同じく、ミレニアム・ゲノム・プロジェクトで二番目に大きな研究プロジェクトのアルツハイマー病関連遺伝子に関する研究にチームの一施設として参画しました。成果となる英語原著論文は11編です。

今後の研究テーマ

今後の研究テーマ<

これまでの実績を踏まえながら、新しい講座の体制を整えて、今後は4つの研究方向を目指していきます。
1) 認知症、神経変性疾患、神経免疫疾患などについて、基礎的な分子病態の研究から、創薬シーズの探索、臨床治験への展開(Bench to Bedside)、逆に「一例を大切にする神経内科」として患者さんからヒントを得た基礎的研究(Bedside to Bench)という臨床の教室を生かしたトランスレーショナルリサーチ。
2) 長年蓄積された遺伝子リソースを生かした老年病・生活習慣病の病因解析、遺伝性認知症などの原因遺伝子の解析、疫学・予防医学講座など学内共同で地域に根ざした疫学研究などの遺伝学的・疫学的研究。
3) 血液や髄液中のサイトカインや代謝産物などのバイオマーカーを解析し、診断や新規治療への応用を目指す技術の研究。
4) 幹細胞やグリア細胞を利用した神経系の細胞治療・再生治療の研究。

また、老年内科分野では、抗加齢・予防医療センターと連携して、高血圧や血管老化などの研究を継続・発展させていきます。