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消化器外科に興味のある皆さんへ

 医学部卒業や研修修了にあたり、将来の志望科をどうするか悩むことも多いと思います。消化器外科の魅力は、胆石、ヘルニアといった有病率の高い疾患から難治性の癌まで対応すべき疾患の幅が広く、かつ手術でなくては治らない患者さんがたくさんいらっしゃる、ということです。更に化学療法や放射線治療といった集学的治療、基礎・医工連携研究など、様々な分野を包括する領域になります。

 そのなかでも外科の中心は当然ながら手術になりますが、現在は胸腔鏡、腹腔鏡はもちろんのこと手術支援ロボットの普及が急速に進み、力ではなく知恵と技術で手術をする時代となりました。参考となる手術動画や手順書も豊富で、努力に応じて加速度的に手技は上達します。当科では胃、食道、大腸、小児外科を専門としていますが、どの領域もロボット手術、内視鏡手術のエキスパートがおり、関連病院への医師の集約による密度の高い研修システム構築もすすめています。女性外科医が増えつつあるのも当科の特徴です。
 すでに消化器外科を志望している先生は勿論のこと、そこまではっきり決まっていなくても外科に興味のある先生はまずは一度、当科の門をたたいてみてください。消化器外科は多様性に富み、必ず自分に合う分野があると思います。是非、一緒にやりましょう。

消化管・腫瘍外科 教授

押切 太郎

「随時、見学募集中!」

 愛媛大学消化管・腫瘍外科では、随時見学や相談を受け付けています。
 ロボット手術をみてみたい、外科医の一日に密着してみたい、などどんな理由でも歓迎します。初期臨床研修や外科専門研修プログラム、大学院入学、入局などをご希望の方は、いつでも下記まで気軽にお問合せください。

担 当診療科長  押切 太郎
Tel089-960-5975(医局代表)Mailshoukaki@m.ehime-u.ac.jp

愛媛大学外科専門研修プログラムの特徴

連携診療科、連携病院みんなで外科医を育てます

 愛媛大学外科専門プログラムでは、愛媛大学を中心として愛媛県内ほぼ全ての中核病院で研修が可能なプログラムとなっています。1年目は愛媛大学外科を中心として研修を行い、2年目以降は、愛媛大学病院や、県内全地域の連携施設で救急・一般外科領域を研修します。3年目以降では、大学病院含め連携施設において、消化管腫瘍外科、肝胆膵移植外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科、小児外科などサブスペシャリティ領域の研修が可能であり、幅広い知識、そして深い知識、技術の習得が可能となっています。外科専門医取得後、自分の理想のキャリアを求め、国内外への留学、博士号の取得など多種多様な選択が可能となっています。

県内様々な地域や病院で特色ある外科研修が可能

 県内広域27連携施設で専門研修施設郡を構成しています。2018年NCD登録数は5000例以上であり、3年間の総NCD登録数は15,000例にも上ります。約70名の専門研修指導医が各施設に配置しています。

先輩入局員からのメッセージ

Q. 外科を志した理由

 白い巨塔の財前五郎のようなかっこいい男になりたいと思っていたこともあり、学生の頃は外科かなと漠然と考えておりました。
 また、治療方法に手術という選択肢がある外科に魅力を感じておりました。しかし、意気揚々と臨んだ初期研修先の病院での外科の研修で、まるで何もできない自分の無力さに絶望し、自分は外科には向いていないと強く感じ、進むべき診療科を悩んでおりました。そんな中、大学の消化器外科での研修で、医局の先生方が熱心に指導してくださり、外科医としての心のリハビリに成功し、改めて外科医になろうと決意しました。

Q. 専門医取得までの後期研修はどうでしたか

 後期研修で、私は大学病院を含め県内の関連病院(四国がんセンター、HITO病院、県立中央病院)で勉強の機会をいただきました。また、大学病院での研修の際には関連病院での外来や当直に行かせていただきました。それぞれの病院で、手術・術前術後管理・外来診療・救急対応や内視鏡手技など幅広く勉強させていただき、学会発表や論文の指導もしていただき、それらは全て私の外科医としての基礎となっております。それ以上に、研修を通して多くの先生、医療スタッフの方、患者様と出会い、関係を築けたことが私にとっては財産であり、人生が豊かになったと思います。

Q. 外科を志す方へ一言

 外科医としてまだまだ未熟な自分であり、大層なことは言えませんが、信念を持って打ち込んでいれば、何か見えてくるのかなと思い、日々励んでおります。外科医として共に愛媛を支える仲間が1人でも増えれば何より嬉しいです。

平成30年卒(愛媛大卒)

五葉 海

令和4年卒(愛媛大卒)

成本 葵

Q. 外科を志した理由

 急性腹症の患者さんや悪性腫瘍の患者さんを救命できる点に魅力を感じ、外科医を志すようになりました。

Q. 後期研修医として愛媛大学を選んだ理由

 上級医の先生方の指導が手厚く、充実した専攻医研修を送ることができています。また、当科ではチーム性を導入しており、診療で困ったことがあっても気軽に治療方針を相談しやすい環境です。徐々に女性医師も増えてきており、ロールモデルとして参考になっています。

Q. 外科を志す方へ一言

 当科では手術手技や診療だけではなく研究面でも充実した指導を受けることができます。外科に興味のある方、是非 気軽に見学に来てください!

入局実績

消化管単科領域としては数多くの若手外科医の入局実績あり

女性医師のキャリア支援

 医師にも多様性が求められる現代において、特に女性医師のキャリアプランと出産・育児のバランスは非常に重要な課題です。当科では近年女性外科医の入局者が増加傾向であり、様々な取り組みを導入しています。

マドンナドクター養成プロジェクト https://www.m.ehime-u.ac.jp/hospital/kenshu/about/career/

大学院博士課程

入局者全員の学位取得をサポート

 当科では入局者全員の学位取得を目指しています。博士号の取得までの道のりは個々の自由であり、基礎研究室へ出向しどっぷり研究プラン、基礎研究も臨床も同時にやりたいプランなど柔軟な学位取得が可能です。時期も後期研修中、後期研修後、臨床経験後いつでも入学可能です。

プラン例

【臨床&研究両立プラン例】

平成22年卒

大木 悠輔

平成31年 大学院入学

Q. 大学院入学のタイミングはどのように決めましたか

 私は大腸外科医を志し、卒後6年目から8年目までの3年間を静岡がんセンターにレジデントとして国内留学をしました。ハイボリュームセンターでは多くの手術を行うだけでなく、適切な術式選択・治療方針の決定ということを学びました。また、現段階で解明されていないクリニカルクエスチョンを常に意識しながら診療する姿勢を学びました。愛媛大学に帰学し、臨床をしていく中で解剖学に対するクリニカルクエスチョンを見出し、この答えを出すためには大学院へ入学し基礎を含めた研究が必要と考えました。教授に相談し、大学院へ入学し基礎研究と臨床研究を組み合わせた研究でクリニカルクエスチョンの1つを解明することができました。

Q. 臨床と研究の両立はどうでしたか

 一般的に外科系の講座で大学院へ入る場合には、基礎研究を行う場合には臨床、特に手術から遠ざかってしまうデメリットがあります。私はできるだけ手術から遠ざかる期間を短くしたい思いもあり、実験系の基礎研究ではなかったため、臨床と研究を両立させながら取り組みました。臨床では主治医として執刀をおこなうとともにロボット手術の立ち上げにも携わりました。当科では私のように臨床と基礎研究を同時に行い、できるだけ臨床にも携わりたいという願いも叶えやすい環境にあると思います。

Q. これから博士号を取得する若手外科医へアドバイス

 博士号はまず、日常臨床のクリニカルクエスチョンをもち、その疑問に答えを出す過程を学びます。細胞のシグナル伝達に対する疑問や臨床で特に手術中に疑問に思うことに対して研究手法を考え、答えを導き出すのは苦しいこともありますが、非常に楽しいことです。博士課程の研究を行うことで手術に対する考え方や手術手技が洗練されていくと考えています。若手の先生方には、アカデミックサージョンを目指して行っていただきたいと思います。

【研究重点プラン例】

平成29年卒

渡部 克哉

令和2年 大学院入学

Q. 大学院入学のタイミングはどのように決めましたか

 もともと学位は早い段階で取得したい希望がありましたので、医局と相談し後期研修終了とともに大学院に入学することになりました。

Q. 臨床を離れることに抵抗はありませんでしたか

 後期研修終了直後に入学しましたので、確かに周囲と比べても外科スキルの習得は時間がかかることに最初は抵抗がないわけではありませんでした。医局のサポートもあり、最初の1年間は執刀を多く経験できる病院に勤務しながら、研究の準備ができ、2年目以降は完全に臨床を離れ研究に専念しました。その中でもたまに手術見学をしたり、二次救急などで臨床に触れ続けていたので、比較的スムーズに臨床復帰ができました。

Q. これから博士号を取得する若手外科医へアドバイス

 私は希望で基礎研究室に出向し、vivoやvitroの実験を数多く経験させていただきました。臨床においても少しは、深く物事を考察することが可能になったように感じます。正直毎日研究の日々は辛いと感じることもあると思いますが、確実に成長につながると信じています。ぜひ、当科で一緒に研究を楽しみましょう。