対象疾患について

消化管・腫瘍外科

食道領域

1.食道がんの症状

 食道は、のど(咽喉)と胃をつなぐ細長い管状の消化管です。食道がんが、大きくなると食べた時の“つかえ感やしみる感じ”や胸部・背部の“違和感や痛み”などの症状が出現します。また、“かすれ声や咳”が気になって発見される方もおられます。

2.食道がんになりやすい人は?

 食道がんは、男性の方が女性の約5倍もかかりやすく、年齢は60〜79歳に好発する(全体の約74%)。また、タバコ(喫煙)とお酒(飲酒)は食道がんのリスク因子であり、特に毎日のようにお酒を飲む人やお酒で顔が赤くなる体質(フラッシャーといいます)の方は非常にリスクが高いため注意が必要です。その他、欧米に多いタイプの食道腺がんは肥満や逆流性食道炎などがその原因としてあげられています。

3.早期発見がもっとも大切

 胃カメラ(内視鏡)で切除できた方は全体の18.2%で、その5年生存率は87.2%と良好でした。食道がんは症状がでた時には、すでに病期(ステージ)が進行していることが多い(80%)ため、早い段階で食道がんを発見するには、症状がなくても胃カメラを受けることをおすすめします。

4.食道がんの集学的治療

 食道がんは、発見時の病期(ステージ)や年齢、体力、併存疾患などを考慮し、さまざまながん治療(内視鏡治療、外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤)、放射線治療など)を組み合わせた集学的治療が行われています。

(食道癌診療ガイドライン 2022年版)

 近年、食道がんに対する手術は、胸腔鏡下手術、縦隔鏡下手術、ロボット支援下手術といった体に負担をかけない低侵襲手術が主流となっています。腹臥位胸腔鏡下手術は患者さんが腹ばいとなった状態で行われ、肺炎等の呼吸器合併症の軽減等の利点があります。ロボット支援下食道切除はより精緻な手術操作が可能で、当科は愛媛県で同手術を行える唯一の施設となっています。

 また、免疫チェックポイント阻害薬など食道がん患者さんに用いることができる新たな薬剤の開発は著しく進歩しており、より一層の治療成績の向上が期待されています。