次世代PRP療法について
PRP療法とは
PRPとは、Platelet(血小板), Rich(豊富な), Plasma(血清) の略で自身の血液の血小板の成分を使用して行う細胞治療(再生医療)の一つです。欧米ではすでに治療が開始され、臨床試験による有効性の確認が進んでいます。近年、有名なプロスポーツ選手が靭帯損傷や関節軟骨障害の治療で選択したことなどでもPRP療法の知名度があがり、要望が多くなっています。
日本では2018年8月より、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づく届出が国に受理された医療機関でのみこの治療方法を受けられるようになりました。
血小板には止血効果、炎症反応、免疫反応、感染防御作用があり、動脈硬化、癌転移や発育などの生体反応に関わるとされています。また血小板からは、成長因子やサイトカインといわれる因子など様々な生理活性物質が分泌され、これらの成長因子やサイトカインが組織修復作用や抗炎症作用を発現します。
その作用を利用したのがPRP療法であり、関節内で起きている炎症の活動性を抑えることで疼痛の改善を期する治療で、従来のヒアルロン酸注射などの注射治療と異なり、自身の血液を使用し、生体が持つ自然な治癒反応により組織を修復します。
本治療は入院の必要がなく外来通院で可能であり、手術療法と比べ患者様の負担・制限が少ない治療です。また本治療はスポーツ選手の治療による負担を減らし早期復帰を期するために注目されており、ご自身の血小板を使用した治療ですのでアレルギー反応がおきにくいのも特徴です。
治療内容
当院では以下の2つの治療(保険適応外:自費治療)を行っております。濃縮精製の方法の違いにより、適応部位・効果が異なります。
関節軟骨の治療
⇒ APS (Autologous Protein Solution):次世代PRP療法
自身の血液より抽出したPRPから抗炎症成分を高濃度に抽出したもの
- 抗炎症性サイトカインの炎症抑制による疼痛緩和
- 同化・成長因子による細胞保護
*治療の流れ

靱帯・腱の治療
⇒ GPS Ⅲ (Gravitational Platelet System)
血液を遠心分離し抽出した多血小板血漿(PRP)
- 血管新生の促進による組織新生促進

治療適応
APSの適応
変形性関節症を対象とした治療方法です。現行の治療と比較しますと、これまでの保存療法と手術療法をつなぐ中間的な位置付けの治療で患者様自身の治癒能力をサポートする治療方法です。主に初期から進行期の変形性関節症が適応となり、関節炎や関節水腫の改善と痛みの軽減、関節保護の効果が期待できます。「今行っている保存療法の効果が乏しい」、「手術に踏み切る前に新たな治療方法を試してみたい」など、関節痛でお困りの患者様の要望に応えるための治療方法です。
疾患例:変形性膝関節症、変形性肩関節症、変形性股関節症、変形性足関節症など
GPS Ⅲの適応
内服や一般的な局所注射などの保存療法で症状が完治せず、痛みが遷延している靭帯、筋・腱損傷、さらに腱の付着部炎などが適応となります。血小板が持つ「自己治癒力を高める働き」を利用することで、筋や腱、靭帯の損傷修復に効果が期待できます。特に、炎症を繰り返す滑膜炎・靭帯付着部炎、腱鞘炎など関節周囲の痛みの改善に、PRP療法は新たな選択肢として実施する治療法です。
疾患例:アキレス腱炎、テニス肘、ゴルフ肘、肩関節周囲炎、肘側副靭帯損傷など
*本治療が受けられない患者様
- 免疫抑制剤や抗がん剤治療中、またはがんの治療中の方
- 重度の貧血を認める方
- 薬剤アレルギーをお持ちの方
- 発熱や感冒症状を認める方
- 出血傾向、白血病の治療中の方
- 活動性炎症疾患(リウマチ、膠原病など)に罹患している方
適応の診断に関しては初回受診時に医師による診断があります。
受診方法
まず、かかりつけ等の整形外科を受診し紹介状を作成して頂き、愛媛大学整形外科の一般外来の受診予約を取っていただきます。(受診の際は、痛みのある部位のMRIの画像を持参して下さい。) 診察後、治療適性があればPRP専門外来を予約します。
*MRI撮影が可能な当院連携病院
- 中予地区:
- 南松山病院関節治療センター、愛媛生協病院、つばさクリニック、もりのぶ整形外科、整形外科尾形クリニック、奥島病院、愛媛医療センター、鎌田リウマチ・整形外科、三津整形外科など
- 東予地区:
- 西条中央病院、新居浜十全総合病院、整形外科藤井病院、白石病院など
- 南予地区:
- JCHO宇和島病院、市立野村病院、大洲記念病院など
治療に関するお問い合わせ
予約、内容の問い合わせは当センター(089-960-5556)までご連絡ください。