愛媛大学医学部附属病院 人工関節センター

部門紹介

オステオサイエンス部門
オステオサイエンスによる病態解明への挑戦 ~基礎から臨床へ~

部門概要

人工関節により治療される代表的疾患として、変形性関節症や関節リウマチがあるが、これらの疾患の発症や進展の詳細な機構は、その大部分が不明である。また、本邦をはじめとした先進諸国における超高齢化社会では、人工関節治療自体の長期にわたる良好な成績が期待されるが、人工関節周囲の骨吸収などによる“弛み”などで再治療を余儀なくされる場合もある。これらの病態における詳細な分子メカニズムは解明されれば、事前の予防策や対処法などの革新的な治療法開発の手がかりになることが期待される。

当部門では、人工関節に関連する病態における様々な組織(軟骨、骨、靭帯等)において、どのような分子がどのように働き、病態の発症・進展に関与しているのかを、基礎研究の観点から、分子生物学や動物遺伝学、病理学に加えて、最新のイメージング技術を応用して明らかにすることを目的として研究を展開する。

研究内容

北澤研究室研究室のリンクはこちら

どのような細胞が変形性関節症の発症や進行に寄与しているのかをとらえる事が出来れば、治療標的の探索につながることが期待できる。そこで、病変の局所に存在する細胞の由来を追う事の出来る細胞系譜マウスを用いて、変形性関節症モデルを作成し、病変細胞の由来や変形性関節症病態のメカニズム解明を行う。

今村研究室研究室のリンクはこちら

変形性関節症の病態では、関節軟骨を構成する主な細胞外基質である2型コラーゲンの破綻が大きく関与している。しかしながら、実際にどのような段階を踏んで2型コラーゲンが破綻し、変形性関節症が進行するかは、依然として不明な点が多い。そこで、コラーゲンの破綻を可視化することができれば病態の解明に繋がると考えられ、最新のイメージング技術を応用し「2光子励起顕微鏡を駆使した関節軟骨コラーゲンのSHGイメージング」を行う事で、変形性関節症モデルや加齢モデルマウスを用いたin vivo解析およびコラゲナーゼ処理によるex vivo解析により、関節軟骨変性の可視化データから病態の解明を行う。

飯村研究室研究室のリンクはこちら

変形性関節症の発症に際し、永久軟骨と呼ばれ一般的には変化する事のない関節軟骨細胞が、胎児や小児の骨伸長を担う成長軟骨と同様に、肥大軟骨細胞へと分化し、変形性関節症の特徴である骨硬化や骨刺形成に寄与する事が明らかとなっている。この事から、発生期における関節形成や成長軟骨分化をとらえる事が、病態解明にも有用であると考えられる。そこで、関節の発生に関わる分子群の同定を基盤に、関節恒常性の維持と破綻という視点の研究を展開する。

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人工関節を受ける患者の多くが閉経後女性であることなどから、変形性関節症や関節リウマチの発症や病態の進行には性差が存在する事が明らかである。中でも、性差を規定する一つの要素である性ホルモンに着目し、「関節疾患における性ホルモンの作用機序」について、性ホルモン受容体遺伝子欠損マウスモデルを用いて解析し、関連・寄与する標的分子や血清中の因子などの同定を試みる。

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