写真:校内の並木林

教授のごあいさつ
Message from Professor

写真:スーツを着た大八木教授
脳神経内科・老年医学講座 教授
大八木 保政 OHYAGI Yasumasa

老年医学から出発した脳神経内科学講座として

当講座は1997年4月に老年医学講座として開設され、同年12月に三木哲郎初代教授が着任されました。1999年4月に老年科が開設され、同年9月から老年科内に神経内科が誕生し、九州大学神経内科より派遣された老年科の野村拓夫講師が初代の神経内科責任者となりました。その後医局員は順調に増加し、講座名は「老年医学」から「加齢制御内科学」を経て2013年より「老年・神経・総合診療内科学」となりました。2015年5月1日付で三木前教授の後任教授として私が着任しました。

三木教授時代は高血圧・認知症などの老年内科と神経内科の両立体制でしたが、私は認知症を含めた神経内科疾患を専門としており、就任後は特に神経内科疾患に重心を置いています。当初より診療面では神経内科疾患がほとんどでしたが、2018年に日本神経学会が診療科名を「脳神経内科」に変更したこと、当講座の老年医学の伊賀瀬道也特任教授が新設の抗加齢医学(新田ゼラチン)寄付講座教授に就任されたことから、2019年10月より「脳神経内科・老年医学講座」に改称し、また大学病院の診療科名は「脳神経内科」となりました。 

脳神経内科は昔から「診断をつけても治らない難病が多く、一般人や学生に馴染みのある疾患が少ない」イメージが強い分野でした。しかし現在、国内の脳神経内科専門医も5000名を超え、大都市部では脳卒中・認知症・てんかん・頭痛などのコモンな疾患の診療でも中心的な診療科の一つとなっています。さらに、神経難病についても、特に免疫疾患・代謝疾患・遺伝子異常疾患などについて画期的な治療薬が続々と開発・上市されており、「治らない病気」というイメージは確実に少なくなっています。それでもなお難病が多いことも事実ですが、逆に研究・開発領域もまだまだ広大であり、マクロ・ミクロの両面から今後の研究のさらなる発展は間違いありません。 一方、愛媛県は全国的に見ても人口当たりの脳神経内科専門医数が最少の地域の一つであり、また地方の人口減少の状況でも高齢化はますます進むので、近未来的に医師過剰と言われる時代でも潜在的需要が大きい分野です。診療や研究の見学などはいつでも歓迎しますので、気軽にご連絡ください。

2019年10月
大八木 保政