愛媛大学医学部 眼科学教室Department of Ophthalmology,
Ehime University School of Medicine

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スキルアップトレーニング

実践的手術手技研修(御遺体を使用した手術手技トレーニング)

愛媛大学では、御遺体による手術手技研修体制が整っていることも大きな特徴として挙げられます。
これらは医療の発展のため、献体して下さる愛媛白菊会の皆様や愛媛大学解剖学教室の多大なバックアップによって実現されているもので、全国をみても可能な施設はごく一部と限られています。
特に眼窩部領域は複雑な立体構造を有しており、人体の構造そのままに、手術手技を習得できる貴重なシュミレーショントレーニングの機会となります。涙道手術(涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術、涙嚢鼻腔吻合術)に関しては初めて開催した2014年以降、全国から参加者を公募し、毎年11月頃定期的に実施しています。

愛媛涙道手術手技研究会の概要

手術手技トレーニング方法として、模型、代替動物、遺体が挙げられますが、解剖構造が複雑な部位では、遺体を用いた手術研修が大変有用です。しかし、研修目的で遺体に手術を行うことは、本邦では明確な基準がなく普及しませんでした。2012年にガイドラインが策定され、遺体を用いた手術手技研修が可能となり、愛媛大学医学部では2013年に手術手技研修センターが発足し、Thiel法固定遺体を用いた涙道手術手技研究会を立ち上げました。

研修内容

1,前日に講師による解剖および手術術式の座学による講義。
2,肉眼および顕微鏡下での涙道手術に必要な微細な解剖学的観察。
3,講師による手術手技指導(DCR鼻外法・鼻内法、涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術)。

研修実績

2014年から開始し、第2回以降、毎年約30名の受講希望者が全国から参加されています(表)。

研修の特徴

本邦ではホルマリン固定を用いた手術研修が一般的ですが、海外では凍結固定の研修がほとんどです。ホルマリン固定の問題点は組織の硬化が強く、手術操作性に劣ることで、一方、凍結固定は操作性が良好ですが、感染の危険性と遺体を凍結保存するための専用の大きな冷凍庫が必要で、管理費用がかかるという問題があります。本研究会で用いるThiel法固定は、従来のホルマリン固定(8-10%)より低濃度のホルマリン(3-6%)で固定されており、組織硬化が少ないため操作性がよく、出血がないため視認性が良好で、既知の病原体の感染の危険性がなく、献体の常温保存が可能なためコストがかからないといった利点があり、手術手技研修に適した固定法として近年注目されている固定方法です。

これまでに愛媛大学での涙道手術手技トレーニングに参加した医師数
開催日時 講師 愛大 四国 四国外 合計(名)
第1回 2014/02/15 2 4 4 1 11
第2回 2014/10/25 2 4 10 10 26
第3回 2015/11/08 3 8 8 13 32
第4回 2016/11/20 3 4 3 18 28
第5回 2017/11/19 4 3 1 21 29
第6回 2018/11/04 5 4 1 18 28
第7回 2019/11/03 4 2 1 23 30
第8回 2022/11/27 4 4 3 9 20
画像:2019年愛媛涙道手術手技研究会参加メンバー

2022年愛媛涙道手術手技研究会
参加メンバー

画像:涙道内視鏡を使用した実習の様子

涙道内視鏡を使用した実習の様子

画像:涙嚢鼻腔吻合術鼻内法の実習講義風景

涙嚢鼻腔吻合術鼻内法の実習講義風景

連絡先

愛媛大学大学院医学系研究科 眼科学講座
089-960-5361
〒791-0295 愛媛県東温市志津川
愛媛大学眼科秘書 ophusirc@m.ehime-u.ac.jp