愛媛大学大学院医学系研究科  整形外科学

教室紹介

膝関節研究グループ

国内の変形性膝関節症(OA)の潜在患者数は約2500万人以上と推定されおり、整形外科領域において年間7万例を超える人工膝関節が用いられています。人工膝関節全置換術(TKA)は除痛や歩行能力など基本的機能の改善がその大きな目的でしたが、現在では深屈曲やスポーツ活動などより高次元の機能への要求度が高まっています。このことから、本研究は申請者らが開発した1方向X線動画像イメージマッチングによる6自由度動態解析技術と人工関節開発支援技術を駆使し、健常膝が持つ解剖学的形状や機能性などを評価することで高機能性を持った次世代人工膝関節を開発することを目的としています。

膝関節の複雑な動態を生体内で解析する手法の1つです。解析対象物の一方向の透視像と、解析対象物の位置や方向の異なる投影像とを照合し、もっとも一致するパターンから、解析対象物の3次元的位置を同定する方法です(図1)。現在では世界最高レベルの誤差範囲内での空間認識を可能としました。

図1.6自由度動態解析技術

開発に必要な耐用性試験機専用施設も学内に設置し、産学連携により独自に開発した4軸摩耗試験、軸荷重試験機、3軸拘束範囲試験機、内外反拘束範囲試験機などISO、ASTM規格基準を満たした試験機も配置しています(図2)。これによって、研究から開発までの工程を一貫して行うことができ、人工関節センターの研究開発部門との連携により強力に推進するとともに、臨床応用までのスムーズな実施を可能としています。

図2.耐用性試験機