愛媛大学大学院医学系研究科  整形外科学

教室紹介

神経研究グループ

脊髄損傷に対する治療法の開発

脊髄損傷は、起こってしまうと四肢が動かなくなってしまう重篤な疾患ですが、現時点で有効な治療法はありません。当研究室では治療法の開発にあたって、脊髄損傷発症後に数時間から数日にかけて起こり、損傷を増悪させる2次損傷に注目しています。2次損傷には、損傷後に障害部位に集まって炎症を増悪させるマイクログリアや、脊髄再生を阻害する物質を産生するリアクティブアストロサイトの関与が報告されています。
それらを抑制することによって、麻痺の増悪の抑制及び運動機能の改善が期待されます。培養細胞や動物実験モデルを用いて、2次損傷を抑制する可能性のある候補薬剤を投与して、その効果を評価し、治療薬の開発を目指しています。これまでに、ラット脊髄損傷モデルを用いて、細胞内シグナルの1つであるp38 mitogen activated protein kinase (MAPK)のinhibitorを脊髄損傷後に硬膜内投与することにより、2次損傷の抑制及び軸索保護効果があることを報告してきました。今後さらに脊髄損傷抑制のためのメカニズム解明を進めていく予定です。

  • 無処置
  • P38 MAPK投与

P38 MAPK inhibitorの脊髄保護作用