その他肝疾患について

ヘモクロマトーシス
 体内貯蔵鉄が増加して臓器に過剰に沈着し、臓器の障害を生じる病気です。ヘモクロマトーシスは遺伝性の特発性ヘモクロマトーシスと、輸血による鉄過剰や溶血性貧血など、何か原因があってそれにより起こる続発性ヘモクロマトーシスがあります。臓器障害の結果、肝硬変や、心筋障害、糖尿病などをきたします。また、皮膚の色素沈着などがみられます。診断のために肝生検が必要な場合があります。
 治療は、瀉血を行い、瀉血が困難な場合はキレート剤による鉄の排出を行います。特発性ヘモクロマトーシスでは肝硬変に至る前に瀉血療法を行うことが、予後改善に重要と考えられています。

ウイルソン病
 ウイルソン病は銅の代謝異常によって、銅が過剰に蓄積する遺伝性疾患です。肝臓だけでなく、脳・腎臓・角膜にも沈着します。小児期に肝障害、10歳から思春期に神経症状などで診断されることが多いのですが、軽症例では高齢になって始めて診断される例もあります。確定診断には肝生検検査が必要です。また脂肪肝や急性肝炎様に発症することもあります。肝硬変まで進展した例では肝細胞癌が発生する可能性もあり、定期的に画像検査を受ける必要があります。
 治療は、低銅食などの食事指導の他、薬物療法としてD-ペニシラミン、塩酸トリエンチンというキレート剤の他、酢酸亜鉛薬が使われています。早期の診断と、適切な治療が望まれる病気です。