JSCT-ATLL12の追加観察研究 「移植後モガムリズマブ投与患者のモガムリズマブ血中濃度測定」 JSCT-ATLL12観察研究 「同種造血幹細胞移植後に再発・再燃した成人T細胞性白血病/リンパ腫 患者の治療法および予後に関する前向き観察研究」

JSCT-ATLL12の追加観察研究
「移植後モガムリズマブ投与患者のモガムリズマブ血中濃度測定」

JSCT-ATLL12観察研究
「同種造血幹細胞移植後に再発・再燃した成人T細胞性白血病/リンパ腫
患者の治療法および予後に関する前向き観察研究」

 
1.臨床研究について
愛媛大学病院血液・免疫・感染症内科(第一内科)では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、当科では、現在成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)患者の患者さんを対象として、同種造血幹細胞移植後に関する「臨床研究」を行っています。
九州大学大学院医学研究院 病態修復内科学との共同研究である今回の研究の実施にあたっては、愛媛大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施しています。

2.研究の目的や意義について
本研究の目的は、同種造血幹細胞移植後に再発・再燃を来たしたATLLの患者様に対する、モガムリズマブ投与時のモガムリズマブ血中濃度と患者様の予後との関連を検討することです。
JSCT研究会で実施した、「同種造血幹細胞移植後に再発・再燃した成人T細胞性白血病/リンパ腫患者の治療法および予後に関する前向き観察研究」JSCT-ATLL12(以下、JSCT-ATLL12観察研究)では、同種造血幹細胞移植後の再発・再燃した患者様へのモガムリズマブ投与により、12症例中5症例が長期生存しており、再発・再燃後の1年生存率は41%と、従来の移植後再発(1年生存率10%前後)と比較し、明らかな予後改善が認められました。
一方、12症例中7症例ではモガムリズマブへの反応性は乏しく、その後原病で死亡されました。モガムリズマブへの反応性が乏しい症例では、治療抵抗性のメカニズムとして、モガムリズマブが治療有効血中濃度に達していない場合や、モガムリズマブの治療有効濃度には達しているが免疫の状態に異常がある場合などがあるのではないのかと考えております。このことから、JSCT-ATLL12観察研究で予定していなかった、モガムリズマブの血中濃度測定を追加観察研究として実施させていただきます。

3.研究の対象者について
JSCT研究会で実施した、JSCT-ATLL12観察研究(許可番号:許可番号25-97 許可期間:平成25年7月9日~平成28年6月30日)に、平成25年7月9日~平成27年6月30日の間に登録いただきました患者さんの中で、モガムリズマブ投与された下記の施設の12名の患者さんが対象となります。
九州大学病院 血液・腫瘍・心血管内科 3名
国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科 3名
九州がんセンター 血液内科 1名
原三信病院 血液内科 1名
愛媛大学病院 血液・免疫・感染症内科 1名
長崎大学病院 血液内科 1名
佐世保市総合医療センター 血液内科 1名
島根大学病院 腫瘍・血液内科 1名

研究の対象者となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡ください。

4.研究の方法について
既にJSCT-ATLL12観察研究で採取させていただきました血液で、ウイルス活性化状況把握検査後の血清試料が、九州大学大学院医学研究院病態修復内科学で保管されています。その保管血清試料で、モガムリズマブの血中濃度を測定いたします。
エンヴィーゴ株式会社に、対象者の保存血清検体から500 μLを取り分けて郵送にて送付し、モガムリズマブの血中濃度についての解析を行う予定です。他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。

5.個人情報の取扱いについて
対象者の血液、測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、多施設共同研究事務局である九州大学大学院医学研究院病態修復内科学のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した個人情報は、九州大学大学院医学研究院病態修復内科学・教授・赤司浩一の責任の下、厳重な管理を行います。
対象者の血清をエンヴィーゴ株式会社へ郵送する際には、九州大学にて上記のような個人情報に関する処理をした後に行いますので、対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。

6.試料や情報の保管等について
〔試料について〕
この研究において得られた対象者の血清は原則としてこの研究のために使用し、モガムリズマブ血中濃度測定後の残余血清は検査会社で適切に廃棄されます。

〔情報について〕
この研究において得られた対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、愛媛大学附属病院 血液・免疫・感染症内科 講師 藤原 弘の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

7.研究に関する情報や個人情報の開示について
この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、ご本人からの開示の求めに応じて、保有する個人情報のうちその本人に関するものについて開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

8.相談窓口について 
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。

研究責任者
愛媛大学医学部附属病院 血液・免疫・感染症内科
(第一内科)講師 藤原 弘
連絡先:〔TEL〕089-960-5296
    〔FAX〕089-960-5299
メールアドレス:yunarief@m.ehime-u.ac.jp