臨床研修について

第一内科の紹介

 血液・免疫・感染症内科学(第一内科)は、1973年(昭和48年)愛媛大学医学部設置とともに開設された新設医学部の中では最も早くスタートした内科学教室です。
 私たちの教室は、主に血液、膠原病、リウマチ、感染症などの病気の診療をしています。これらは特定臓器に限局した疾患ではなく全身性の疾患です。従って、単一臓器に目を向けるのではなく、常に全身管理を意識した診療を心がけています。つまり、特定臓器疾患の専門医を養成するのでは無く、総合内科の臨床研修を目標にプログラムを組み立てています。血液専門医やリウマチ専門医だけでなく、最近社会的ニーズが非常に高い感染症専門医や腫瘍内科医(がん薬物療法専門医)の育成にも努力しています。どちらの領域も愛媛県はもちろん、全国的にも専門医が少なく、国策として人材育成を推進している領域で、とても将来性のある内科領域です。
 血液悪性腫瘍に対しては、日本造血・免疫細胞療法学会の造血細胞移植認定施設として造血細胞移植やキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法などの専門性の高い治療だけでなく、JALSG (日本成人白血病研究グループ)や西日本血液診療グループW-JHS)などの認定施設として、国内多施設共同臨床研究にも積極的に参加しています。特に、CAR-T療法は、愛媛県内では当施設でのみ実施可能で、免疫療法、造血細胞移植療法のいずれも実施できる限られた施設で、県内の高度医療を担っています。
 膠原病・リウマチに関しては、日本リウマチ学会教育施設として、多くの難治性膠原病患者の紹介を受け、分子標的療法を併用した高度先進医療を行っています。
 感染症は当科の専門領域の一つであり、難治性重症感染症や日和見感染症の診療について最先端の診療を行っています。またHIV感染症の診療経験は四国で最も多く、この分野でも十分な研修が可能です。
 また、研究室から得られる研究成果を臨床応用するなど、新たな診断・治療法のトランスレーショナルリサーチも活発に実践しており、研究志向の研修医の方たちにも適した研修が可能であると思います。

初期研修について

 当科ではまず、指導医のもと数名の患者の主治医として診療に当たります。この時期には、特定の臓器疾患にこだわらず、基本的診断能力や内科学的全身管理の基礎が行える能力を養うことを目標にします。総回診やカンファレンスでのディスカッションによって、科学的根拠に基づいた診療姿勢やプレゼンテーション能力を身に付けます。また、医療スタッフや患者さんおよび家族の方たちとのコミュニケーションを構築できることも大切な目標の一つです。学問的価値のある症例は、学会報告し、論文発表できるよう丁寧に指導します。研修医の希望によって、学外研修も積極的に勧めています。初期研修では、専門分野に限らず、当科で経験可能な症例を幅広く経験してもらうようにしています。

内科専攻医研修について

●内科専攻医研修の概要

 平成29年度より新専門医制度による臨床研修が開始となり、専門医制度が大きく変わりました。詳しくは、愛媛医大学医学部附属病院総合臨床研修センターホームページをご覧下さい。新専門医制度では、初期研修後、専門研修プログラムによる後期研修を行い、まずは基本領域(19領域)の専門医を取得します。基本領域の専門医取得後、研修を重ねてサブスペシャリティ領域の専門医が取得可能となります。

●プログラムの目的と特徴

当科では、まず、内科臨床医として必要な幅広い知識と診療技術の修得を第一目標として研修します。さらに、造血器腫瘍を中心とした腫瘍性疾患、自己免疫疾患、輸入感染症や日和見感染症を含めた幅広い感染症診療などの専門的診療に携わります。総回診やカンファ レンスでのディスカッションによって、科学的根拠に基づいた診療姿勢やプレゼンテーション能力を身に付けます。また、医療スタッフや患者様および家族の方たちとのコミュニケーションを構築できることも大切な目標の一つです。学問的価値のある症例は、学会報告し、論文発表できるよう丁寧に指導します。

●経験目標

 内科臨床医として要求される基本的知識と診療技術の修得を第一目標にしています。内科学会認定医さらに総合内科専門医の資格を獲得することを目標に研修します。さらに、興味のある分野の専門性を高め、それぞれの関連学会専門医取得に向けて研鑽を積んで行きます。また、学会報告や論文発表などを通して、サイエンスとしての臨床医学も身に付けられるように指導します 。

●研修に関する行事

 総回診、血液カンファレンス 、膠原病・感染症カンファレンスを毎週開催しています 。さらに、看護師との合同カンファレンスや特別セミナーも頻回に開催して、研修医・専攻医の研鑽に努めています。

●研修終了後について

 希望によって大学院に進むか連携病院でさらに専門性を養うかの選択を行います。基本的に内科サブスペシャリティ領域の専門医の取得は目指します。特に、第一内科では、感染症専門医は全員取得を目指し、加えて、血液専門医、リウマチ専門医の取得を行えるよう専門研修を大学病院と連携病院にて行います。がん専門医を目指す人は、大学院がんプロ養成コースにも進めます。県外の専門施設での専門的臨床研修も推進します。大学院生も臨床から離れることなく研究も臨床に還元できるテー マを与えます。もちろん、レベルの高い研究を目指し、研究成果は国内外での学会発表とともに、権威のある国際誌に発表することを実践します。入局後も常に学外施設との親密な交流を図り、大学内に留まることなく、外国留学や国内外のトップレベルの施設への臨 床研修および研究留学を推進します。内科学会認定医資格取得後は、各専門医とともに総合内科専門医の資格も取得するように努めます。このような臨床研修を経て高度の専門性を有すると同時に、特定臓器にとらわれず幅広い知識と技術を有する内科専門医の育成に努めます。

●当科で取得できる専門医・認定医

日本内科学会内科専門医、日本感染症学会専門医、インフェクションコントロールドクター、日本血液学会血液専門医、日本輸血・細胞治療学会認定医、日本造血・免疫細胞療法学会造血細胞移植認定医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、がん治療認定医、日本リウマチ学会専門医

●連携病院との連携(主な連携病院名)

県立中央病院、県立今治病院、県立新居浜病院、松山赤十字病院、松山市民病院、市立宇和島病院、宇和島社会保険病院、市立八幡浜病院、町立北宇和病院、喜多医師会病院、市立周桑病院など