がん患者における免疫機能の制御に関する解析

お知らせ

当愛媛大学血液・免疫・感染症内科では、かねてからがんに対する新たな免疫療法の開発研究を行っていますが、今回以下の臨床研究を三重大学、藤田保健衛生大学、長崎原爆病院と共同して実施しております。当科では、白血病やリンパ腫等の患者さんの同意を得て、検査に際して得られた血液や組織などの検体の一部を研究に利用すると共に研究室に保管していますが、本研究は、その検体をこれら参加施設がそれぞれ得意な分野を担当して共同で解析しようとするものです。既に退院されている患者さんの検体を使用する場合には、厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんお一人お一人から直接同意を得るのではなく、研究内容の情報を公開することが必要とされております。
この研究に関するお問い合わせなどがありましたら、下記の「問い合わせ先」へご照会ください。

研究課題名

がん患者における免疫機能の制御に関する研究

研究機関

No. 研究機関名 住所
1 三重大学大学院 医学系研究科 遺伝子・免疫細胞治療学講座 〒514-8507 三重県津市江戸橋2-174
2 愛媛大学大学院血液・免疫・感染症内科学(附属病院・第一内科) 〒791-0295 愛媛県東温市志津川
3 藤田保健衛生大学 血液内科 〒470-1192 愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98
4 長崎原爆病院 血液内科 〒852-8511 長崎市茂里町3番15号

愛媛大学研究責任者

藤原 弘 (第一内科 講師)

研究代表者:池田 裕明(三重大学 遺伝子・免疫細胞治療学 教授)

共同研究代表者:

  • 赤塚 美樹(藤田保健衛生大学 血液内科 教授)
  • 城 達郎(長崎原爆病院 血液内科 部長)

研究の目的

現在、愛媛大学は当科自体で、あるいは三重大学をはじめとする共同研究施設と、種々のがんに対する「がんワクチン臨床試験」、 「免疫細胞療法」の臨床試験を行っています。しかし、現在のがん免疫療法は、未だに開発途上にあり、今後さらに効果的な方法を開発して、患者さんそれぞれに適した免疫療法を選択できる機会が増えるように科学的なデータを造り上げる必要があります。本研究では、白血病や悪性リンパ腫などの血液がん患者さんの免疫状態を調べることにより、新しい治療の開発を目指します。身体の中にがん細胞を攻撃できるリンパ球、抗体がどれくらいあるのか、あるいはがんを助け免疫を妨げる環境がどれだけあるかを検討します。これによって、将来血液がん患者さんの血液を用いて患者さんの免疫状態を把握し、さらに病気を治すための新しい治療法に繋がる可能性があります。

この研究では、共同研究を行っているこれら三重大学、藤田保健衛生大学、長崎原爆病院へ患者さんの血液や腫瘍組織などの検体を送って調べたり、または先方からの検体を受け入れた研究も行います。

研究の対象・方法

日常診療に於いて白血病や悪性リンパ腫患者さんから、採血した血液検体や検査の為に採取した腫瘍組織の一部、或いは、治療の経過を判断する目的で行う採血で得られた血液検体を使います。造血幹細胞移植、ペプチドワクチン療法、細胞免疫療法の適応検討の際に検査された白血球の血液型(組織適合抗原:HLA)の情報と合わせて、血液中にがん細胞を攻撃できるリンパ球がどのくらいあるのか、それを妨げる細胞がどれだけあるかを検討します。また、血液中のがん抗原に対する抗体価を測定します。血液中の白血病細胞からがん細胞の遺伝子(DNA、RNA)やタンパクを抽出して、免疫を抑制したり活性化したりする分子の発現の検討等をとおしてがん細胞の性質を調べます。

リンパ節生検検査は、基本的には外来あるいは入院時に、その診断もしくは治療のために採取しますが、その細胞の一部(余剰検体)も同様に使用して調べます。これらの検体は愛媛大学ないし三重大学で15年間保存されます。

個人情報の取り扱いと検体の保存

患者さんの個人情報は、情報は匿名コード化などの処理がなされ(匿名化・暗号化)、記録上また出版物上も認識できないようにされます。

患者さんから得られた試料(DNA、RNA、血清、リンパ球など)は匿名コード化して(個人情報と試料・資料を対応させることは可能)、平成41年3月まで愛媛大学血液・免疫・感染症内科学(保管責任者、藤原弘;連絡先089-960-5296)と、主に三重大学先端医科学教育研究棟と三重大学総合研究棟(保管責任者、影山慎一;連絡先059-231-5187)にて保管され、その後は直ちに廃棄することとします。また、共同研究機関である藤田保健衛生大学、長崎原爆病院でも保管され解析が行われる場合もありますが、期間が過ぎれば同様に廃棄されます。

費用負担について

患者さんの検体の輸送や研究に関する費用は、研究費で賄われるため、費用のご負担は生じません。

研究のリスクについて

基本的には、日常臨床で行われる採血等の検査の残余検体を利用すること、追加採血を行う際も、患者さんの貧血等の状態を考慮して必要最低限で行いますので、この研究のために新たなリスクを生じることは有りません。

研究によってもたらされる利益と不利益

この研究の結果が、直ちに患者さんに有益な情報をもたらすことはないかもしれませんが、がん免疫療法に参加できるかどうかの情報には利用できます。

この研究の成果が今後の医学の発展に貢献して、将来病気の診断や治療などがより効果的になることが期待されます。

研究成果の公表について

研究の成果は個人情報が明らかにならないようにした上で学会や学術雑誌等で公表されます。

知的財産権の帰属について

この研究の結果として将来特許権などが生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、研究遂行者などに属し、検体をご提供頂いた患者さんが権利を持つことはできません。

問い合わせ先

この研究の対象となられる方で「自分の血液検体等を愛媛大学以外の他施設との共同研究に使用しないで欲しい」と望まれる方、また、ご質問は下記お問い合わせ先までご連絡下さい。

愛媛大学大学院 血液・免疫・感染症内科学 講師 藤原 弘