各グループ長からの挨拶
循環器グループ
研究は大学病院の使命の一つです。
ベッドサイドで診断や治療の際に生じた疑問や限界に関して、ペーパーリサーチを行い、研究プロトコールを立て、基礎実験で立証を行う、あるいはヒトを対象とする場合は、倫理委員会の承認を得、患者様から同意を得てデータを収集する。
データが完成した時点で国際学会を中心とした発表を行い、英語論文として世界へ情報を発信することにより医学に貢献します。いったん研究にはまると、次から次へと新たなテーマが派生しどんどん面白くなってきます。また自分達の発見を世界へむけて情報発信することは大きな喜びです。これは経験した人間にしかわかりません。
このように臨床も行いながらサイエンスも同時にできる施設は大学以外にはありません。私達は日夜新たなテーマに向かって挑戦を続けています。
循環器グループにおける大学院の特徴は、基礎系、臨床系いずれの方向性をとることも可能な点です。
いずれを選択するかは自分が何を掘り下げてやりたいのかによります。
原則として後期研修終了後からの入学としていますが、希望により初期研修後からも可能です。
呼吸器グループ
愛媛大学呼吸器内科では呼吸器の難治性疾患である呼吸器系悪性腫瘍、間質性肺炎などの病態解明および治療法の開発を主な研究目標とし、基礎部門とも連携しながら研究活動を行っており、国際的な研究業績を挙げています。
近年、全国的に専門医制度が重要視されているために、若い医師の大学院離れが進んでいます。
しかしながら、大学院での研究経験は、臨床データをまとめたり、新しい医療を開発したり、若手医師を育成するなど様々な場面において大きな力となるため、将来第一線の臨床病院で働くことを目指す先生方にも非常に重要であると思います。
つまり、将来の呼吸器診療をより良いものにするためには専門医制度と学位制度の両立が不可欠であり、愛媛大学呼吸器内科はその両立を目指して日々努力を行っております。将来皆さんが飛躍されるためにも、大学院生として研究されることをお勧めします。
腎・高血圧グループ
腎・高血圧グループは腎臓病・高血圧を扱っています。
腎臓病では、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などには腎生検で病理学的診断を行い、ステロイドを中心とした治療を行っています。
腎不全が進行した症例では泌尿器科と連携して、透析導入を行っています。
高血圧は二次性高血圧の除外、標的臓器障害の評価などを行っています。
高血圧緊急症や肺水腫・高カリウム血症による透析などは緊急性がありますが、その他は比較的緊急性のある病態が少なく、じっくりと勉強し、知識を身につけることができます。
大学病院では市中病院に比べて、経験できる症例数に制限があります。
これは大学病院と市中病院での役割の違いにあります。
たくさん症例を経験することは大切ですが、経験が浅いうちに一度に持つ症例が多すぎると、入院目的の疾病以外の合併症は見ない(見れない)状況になり、患者さんの抱える問題全体を把握できません. これでは、その患者さんの人生を幸せにできず、たくさん経験したという自己満足に終わってしまいます。
大学病院の役割を理解し、ぜひ、大学でしっかりとした知識・考え方を身につけてください。
なお高血圧、腎不全に関する知識は、将来どの領域でも役立てることができますので、どの診療科へ進もうかと迷われている方も、ぜひ一度研修にいらしてください。