
JCOG1412A1:リンパ節転移リスクを有する子宮体癌を対象とした遺伝子発現プロファイルと 浸潤様式に関する研究
JCOG1412「リンパ節転移リスクを有する子宮体癌に対する傍大動脈リンパ節郭郭の治療的意義に関するランダム化第III相試験」の附随研究
リンパ節転移リスクを有する子宮体癌を対象とした遺伝子発現プロファイルと
浸潤様式に関する研究(研究番号 JCOG1412A1)
1. 研究の対象
JCOG1412「リンパ節転移リスクを有する子宮体癌に対する傍大動脈リンパ節郭清の
治療的意義に関するランダム化第III相試験」に参加して治療を受けられた方
2. 研究目的・方法
研究の概要:
近年、組織や血液などを用いて、がんの診断や治療に関わる因子(バイオマーカー)を探索する研究が精力的に行われるようになってきました。こうした研究で得られるデータを活用して、手術や治療薬の効果に関わる遺伝子の変異の有無や変異の種類などのバイオマーカーを同定して活用することで、将来の治療開発や、患者さんの体質に合わせた治療薬選択などの個別化医療の実現に繋がることが期待されています。また、子宮体癌は子宮の内側の表面にある子宮内膜から発生し、進行とともに深部の子宮筋層に浸潤していきますが、その浸潤様式のパターンの1つとして浸潤部分で腫瘍が様々な形態を呈するMELF(メルフ)型が知られています。MELF型は悪性度が高いと言われていますが、相反する報告があり不明な点が多く、詳細な検討が望まれています。
本研究は、JCOG1412「リンパ節転移リスクを有する子宮体癌に対する傍大動脈リンパ節郭清の治療的意義に関するランダム化第III相試験」に附随する試料解析研究です。手術時に摘出され保管されている子宮体癌の腫瘍組織から遺伝子を抽出し、変異の有無や頻度、遺伝子配列を調べ、治療の効果や予後を予測するバイオマーカーを探索します。また摘出標本を再検討しMELF型浸潤様式と予後や遺伝子変異などとの関連を検討します。
研究の意義:
本研究ではJCOG1412に参加していただいた患者さんの手術標本を用いて、次世代シークエンサーなどを使用し網羅的な遺伝子解析を行います。がん組織の遺伝子変異と患者さんの予後などの臨床情報を組み合わせることで、子宮体癌の予後を予測するバイオマーカーが同定されれば、個別化医療(適切な治療方法の選択など)の可能性が広がります。有用なバイオマーカーを同定するためには、ひとつの医療機関の限られたデータのみでは情報が不十分であり、多くの医療機関が協力して多くのデータを利用した解析を行うことにより、将来の患者さんの治療に役立つ研究になり得ると考えています。本研究により、ご協力いただいた患者さんご本人への直接的な利益は発生しませんが、将来の患者さんに、より効果の期待される治療法が提供できるかもしれません。
目的:
本研究は、JCOG1412に参加いただいた子宮体癌の患者さんの腫瘍検体から抽出したDNA(ディエヌエー)およびRNA(アールエヌエー)と、治療の効果や予後を予測するバイオマーカーを発見することを目的とします。またMELF型浸潤様式と予後や遺伝子変異などの関連を検討することも目的とします。
方法:
JCOG1412の参加施設で保管している腫瘍検体を収集し、DNAとRNAを抽出します。抽出したDNAを用いて次世代シークエンサーという機器により、遺伝子に異常があるかどうかを解析したり、RNAを用いる発現解析という方法により、どのような遺伝子が機能しているのかを解析します。また腫瘍組織の中で特定のタンパク質がどれくらい作られているかを調べる検査を行います。この検査は免疫組織化学染色と呼ばれ、腫瘍の細胞を特殊な薬品で染めて、顕微鏡で観察して評価するものです。さらに腫瘍検体の浸潤様式を評価します。
それらの解析の結果と、あなたに参加いただいたJCOG1412で収集された臨床情報を合わせて、例えば、将来、子宮体癌と診断された時点で、予後をどの程度予測できるかなどの検討を行います。
研究実施期間:
研究許可日~JCOG1412の最終解析から3年後の2030年11月まで
3. 研究に用いる試料・情報の種類
試料:手術の際に採取した組織
情報:JCOG1412で収集された臨床情報、JCOG1412登録番号等
4. 外部への試料・情報の提供
当施設から試料解析実施施設等への試料、解析情報、臨床情報の提供は、JCOG登録番号を用いて、特定の関係者以外が個人を識別し得る情報にアクセスできない状態で行います。対応表は、当施設の研究責任者が保管・管理します。
5. 二次利用の可能性
本研究で用いた試料・情報を国内外の機関で実施する将来の医学的研究のために、研究終了後も大切に保管させていただきます。新たな研究に用いる際には、国内外の規制に則り、あらためて研究計画書を作成して研究倫理審査委員会の承認や研究機関の長の許可を受ける等、適正な手続を踏んだ上で行います。なお、新たな研究の概要・研究機関については、新たな研究に関わる機関(試料・情報の授受を行う機関すべて)を公式ホームページ等にて情報公開いたします。
https://www.m.ehime-u.ac.jp/hospital/clinicalresearch/
6. 研究組織
・ 研究代表者 北海道大学大学院医学研究科 生殖内分泌・腫瘍学分野 渡利 英道
・ 研究事務局 北海道大学病院 婦人科 金野 陽輔
・ 研究事務局 国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 加藤 真弓
・ 病理研究事務局 北海道大学病院 先端診断技術開発センター 畑中 佳奈子、畑中 豊
・ 病理研究事務局 国立がん研究センター中央病院 病理診断科 吉田 裕
・ 国立がん研究センター中央病院 臨床研究支援部門 JCOGデータセンター 福田 治彦
・ 遺伝子変異解析、遺伝子発現解析実施施設 株式会社DNAチップ研究所 的場 亮
・ 共同研究機関 株式会社Biomy 小西 哲平
・ JCOG(Japan Clinical Oncology Group:日本臨床腫瘍研究グループ)婦人科腫瘍グループ参加医療機関 https://jcog.jp/partner/group/
7. お問い合わせ先
ご希望があれば、他の患者さんの個人情報や研究に関する知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書および関連資料を閲覧することができますのでお申し出ください。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて、患者さんもしくは患者さんの代理人の方が拒否された場合は研究対象といたしません。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。また、この研究が適切に行われているかどうかを確認するためや研究の科学的意義を検討するために、国内外の第三者の立場の者が研究対象者の方のカルテやその他の診療記録、研究データなどを拝見することがあります。このような場合でも、これらの関係者には守秘義務があり、個人情報は守られます。
本研究に関するご質問等がある場合や、研究への試料・情報の利用を拒否する場合には、下記の連絡先までお問い合わせください。
ただし、既にこの研究の結果が論文などで公表されていた場合には提供していただいた情報や、試料に基づくデータを結果から取り除くことができない場合があります。なお、公表される結果には特定の個人を識別することができる情報は含まれません。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
当院での照会先
施設研究責任者: 松元 隆
〒790-0295愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5379
JCOG1412A1研究代表者
渡利 英道
北海道大学大学院医学研究科 生殖内分泌・腫瘍学分野
〒060-8638 北海道札幌市北区北15条西7丁目
TEL:011-716-1161
JCOG1412A1研究事務局
金野 陽輔
北海道大学病院 婦人科
〒060-8648 北海道札幌市北区北14条西5丁目
TEL:011-716-1161
JCOG1412A1研究事務局
加藤 真弓
国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
TEL:03-3547-5201

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