山本安則先生の論文がアクセプトされました
2012年4月6日 1:57 PM
山本安則先生の論文がアクセプトされましたので、ご報告させていただきます。
タイトル:Rapid alternative absorption of long-chain fatty acids with upregulation of glycosylated CD36 in liver cirrhosis.
著者:Yasunori Yamamoto, Yoichi Hiasa, Hidehiro Murakami, Yoshio Ikeda, Hirofumi Yamanishi, Masanori Abe, Bunzo Matsuura, Morikazu Onji
学術雑誌名:The American Journal of Clinical Nutrition
内容
食事由来の長鎖脂肪酸は、肝臓における炎症、酸化ストレス、発癌に関与することが報告されています。これまで肝硬変、特に門脈圧亢進症を伴う患者で小腸粘膜に形態変化が起きていることを報告しました。肝硬変患者では食事由来の長鎖脂肪酸吸収に変化が起きていることが想定され研究が始まりました。我々は世界で初めて、上部消化管内視鏡を用いた新しい小腸長鎖脂肪酸吸収試験法を開発し、肝硬変患者における脂肪酸吸収変化とその機序を解明しました。
その結果、肝硬変患者では健常者と比較して長鎖脂肪酸の食後早期の吸収増加が生じており、その吸収経路が本来のカイロミクロンを介したリンパ管経路ではなく、門脈を介し直接肝臓に運ばれる経路が考えられました。また、門脈圧亢進症をともなう肝硬変患者では、小腸粘膜でのカイロミクロン合成関連分子の発現の低下と長鎖脂肪酸受容体glycosylated CD36の発現増加がみられ、結果的に門脈を介した長鎖脂肪酸吸収に関与していると考えられました。
以下山本先生からのコメントです。
今後、肥満、糖尿病、NAFLD患者など、いろいろな病態における脂肪酸の小腸吸収機能について研究を行っていく予定です。
オーベンの日浅先生からのコメントです。
内視鏡室で黙々と臨床試験をして、こつこつ積み重ねてきた結果、非常にきれいな吸収試験のデーターが集積されました。この新しい吸収負荷試験は日本人らしさが光っていると思います。さらにBRTO前後のデーターを組み入れたり、小腸粘膜の蛋白、遺伝子発現の解析も追加して、ストーリーを組み立て、深い考察ができたことがレビューアーから評価されました。その結果、臨床栄養学のトップジャーナル(impact factor = 6.606)にアクセプトされました。