済生会今治病院の八木専先生の論文がDEN openにてpublishされました。
以下八木先生よりコメントです。
今回DEN openにて論文がpublishされましたのでご報告申し上げます(DEN Open. 2024 Dec 2;5(1):e70036. doi: 10.1002/deo2.70036.)。ハイドロゲルスペーサー留置術により直腸潰瘍を来した症例のCase reportになります。
前立腺癌に対する治療方法の一つに放射線治療RTがありますが、そのRTによる放射線性直腸炎・膀胱炎を予防するためにここ最近では前立腺と直腸の隙間にハイドロゲルスペーサーを留置する方針がとられています。そのため最近あまり内視鏡医として放射線性直腸炎の症例が少なくなったと実感しています。しかし、その留置により直腸潰瘍を来した稀な1例を経験したため報告しました。これまで報告は少ないですが、今後前立腺癌の増加しているように今後、このような疾患が増える可能性があり周知する必要があると考え報告させていただきました。また、これまでの報告を考えると憩室症がリスクになる可能性があるため注視する必要があると考えます。
第122回日本消化器病学会四国支部例会(第133回日本消化器内視鏡学会四国支部例会と合同開催:県立中央病院 宮田英樹会長)において、当科の阿部雅則先生が会長を務められ、盛会に終了いたしました。
以下、阿部先生よりいただきましたコメントです。
2024年11月30日(土)、12月1日(日)に松山市総合コミュニティーセンターにおいて開催しました第122回日本消化器病学会四国支部例会(第133回日本消化器内視鏡学会四国支部例会と合同開催)では、多大なるご支援を賜りまして誠にありがとうございました。
両日とも天候に恵まれ、お陰様を持ちまして無事に本会を終えることが出来ました。
運営に当たりましては、何かと不行き届きな点があったものと存じますが、無事学会を終了することができましたのは皆様方のご協力ご理解のおかげと心より感謝申し上げます。とくに、ご指導ご協力いただいた第133回消化器内視鏡学会四国支部例会の宮田英樹会長、日本消化器病学会四国支部第27回専門医セミナーの田中良憲会長、事務を担当頂いた薬師寺是行様、運営を支えて頂いたイブニング・グロー社の皆様には深謝いたします。
愛媛県立中央病院 消化器内科IBDセンターの臨床研究 ”潰瘍性大腸炎患者の治療薬選択におけるSDMにBio/JAK使用歴が与える影響” が,日本炎症性腸疾患学会(JSIBD)2024で「優秀賞」を受賞しました.
以下、県立中央病院の先生方からのコメントです.
近年,診療において患者さんの価値観を共有して一緒に治療方針を決定していくShared decision making (SDM)が重要視されています.それは潰瘍性大腸炎のBio/JAK選択においても同様です.今回,Bio/JAK naïve症例とBio/JAK exposure症例では薬剤選択に寄与する情報量の差(これまでに投与したBio/JAKの治療反応など)があるため、Bio/JAK選択におけるSDMに影響を与えるのではないかと仮定しました.
本研究で得られた結果は下記のとおりです.
①Naïve症例では患者主体による薬剤選択が53%(20/38)であるのに対して,Exposure症例は患者主体による薬剤選択が17%(7/41)で有意に少なかった(p=0.001).
②Naïve症例では患者の薬剤選択理由は多岐にわたっていたのに対して,Exposure症例における患者の薬剤選択理由は全て投与経路であった.
この結果により,薬剤選択に寄与する情報の多いExposure症例においても,投与経路は患者にとって重要な因子でありSDMを実践する上で考慮する必要があることがわかりました.
今後も新しい試みに挑戦していきたいと思います。
渡辺崇夫先生がまとめた、EKEN studyグループの臨床研究がJournal of Gastroenterologyにアクセプトされました。
以下、渡辺先生からのコメントです。
論文名:Clinical factors to predict changes of esophagogastric varices after sustained viral response with direct-acting antiviral therapy
著者名:Takao Watanabe, Yoshio Tokumoto, Hironori Ochi, Toshie Mashiba, Fujimasa Tada, Atsushi Hiraoka, Yoshiyasu Kisaka, Yoshinori Tanaka, Sen Yagi, Seiji Nakanishi, Kotaro Sunago, Kazuhiko Yamauchi, Makoto Higashino, Kana Hirooka, Masaaki Tange, Atsushi Yukimoto, Makoto Morita, Yuki Okazaki, Masashi Hirooka, Masanori Abe, Yoichi Hiasa
本論文は、愛媛県内で組織するEKEN study Groupの先生方にご協力いただき、C型肝硬変症例のDAA治療後によるSVR達成後の食道胃静脈瘤の変化、また静脈瘤増悪・改善に寄与する因子を明らかし、それらを利用した予測のためのスコアリングを提案したものです。
ご指導いただいた徳本先生、また何より、大変お忙しい中ご協力いただいたEKEN study Groupの先生方に深く感謝申し上げます。EKENの研究として初めて、JGにアクセプトという高評価を受け、本当にうれしいです。今後ともご協力のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
奥嶋優介先生の学位論文がScientific Reportsにアクセプトされました。
以下指導医の渡辺先生からのコメントです。
論文名:PKR associates with 4.1R to promote anchorage-independent growth of hepatocellular carcinoma and lead to poor prognosis
本論文は奥嶋先生の学位論文です。
内容としては、渡辺が継続している肝細胞癌におけるPKRの役割に関するものです。これまでにPKRが肝細胞癌の増殖に寄与することを示してきましたが、詳しい機序としてPKRの直接の下流分子は明らかでありませんでした。今回の論文ではIP-MSを利用してPKRの結合蛋白質として4.1Rを同定し、肝癌進展におけるPKR-4.1R axisの作用機序を明らかにしたものです。
本研究は、分子病態医学の今村健志教授の御指導のもと、准教授の川上良介先生、また今村教授を通して、東京大学医科学研究所の村上善則教授 (現、日本医科大学 先端医学研究所 分子生物学部門)、伊東剛先生、笠井優先生、名古屋市立大学薬学研究科の井上靖道教授にも共同研究としてご協力をいただきました。
上記の先生方、第3内科の技官の皆様、分子病態医学の皆様に深く感謝申し上げます。
内分泌グループの松浦文三先生が、UEG Week 2024に参加し、肥満減量手術がMASLDに与える影響について報告されました。
以下松浦先生よりコメントです。
UEG Week 2024に参加して
松浦文三
2024年10月12-15日に,オーストリアのウィーンで開催されたUEG Week 2024に参加してきました。ウィーンでのUEG Weekは2016年に次いで2回目です。今回の国際学会は12年ぶりに若い先生(沼田先生)と一緒に参加しました。前回若い先生(上田先生)と一緒に参加したのは2012年のSan DiegoでのDDWでした。
これまで代謝改善/減量手術のデータを国内外の学会で発表してきましたが,今回は「Usefulness of laparoscopic sleeve gastrectomy for NAFLD (MASLD)」と題して発表しました。手術前および手術1年後のfibroscanのデータから,CAP(dB/m)値は348から279に改善し,肝硬度(kPa)は12.1から7.6に改善した,という内容です。
ウィーンは日本より気温が5-10℃程度低く寒かったですが,学会の合間にはSchoenbrunn宮殿や市内の音楽家の銅像を見学してきました。
次回は2025年10月4-7日にドイツのベルリンで開催予定です。
肝臓グループ 島本豊伎先生が、日本超音波医学会 四国地方会のBest imaging award部門にて優秀賞を受賞されました。
以下島本先生よりコメントです。
「Micro B-flow imagingにより骨腫瘤性病変内に腫瘍血流を描写し得た肝細胞癌の一例」という演題で発表いたしました。
本症例は肝細胞癌の肋骨転移巣をMicro B-flow imagingを用いて観察し、腫瘍内の微細な血管構造を評価したものです。
肝細胞癌の骨転移は溶骨性であることが多く、エコーによる内部性状の評価が可能である場合があります。
Micro B-flow imagingは特殊な画像処理を行うことで通常のB modeでは検知できない血流由来の信号を増幅して描出する技術で、本症例のような骨病変であっても微細な腫瘍血管を観察することができました。
発表に際しましてご指導を賜りました日浅教授、廣岡先生をはじめ、ご協力いただいた肝癌チームの先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。
今回の発表で学んだことを今後の診療にも活かしていきたいと思います。
愛媛県立中央病院の多田藤政先生が第31回日本門脈圧亢進症学会総会において、日本門脈圧亢進症学会田尻賞(和文原著部門)を受賞されました。
以下、多田藤政先生より、受賞にあたってのコメントです。
この度は日本門脈圧亢進症学会田尻賞(和文原著部門)を受賞し、この名誉に謙虚に感謝申し上げます。
令和6年9月26日に高知市で開催された第31回日本門脈圧亢進症学会総会において、本論文が厚い評価を受け、表彰されました。この場を借りて、ご指導いただきました平岡先生、日浅教授、そしてたくさんの症例をご提供いただきました同門の先生方に深く感謝申し上げます。
内容ですが【背景/目的】門脈圧亢進症合併症例の予後改善やサルコペニア進展阻止のため栄養介入をすべき症例の臨床像は未だ明らかではない.そこで,栄養介入を開始すべき臨床像を明らかとすることを目的に検討を行いました.【対象/方法】2021年12月までに当院で診断した初発肝癌患者408例.肝予備能評価にはmALBIを用い, 門脈圧亢進症 (PHT)は食道胃静脈瘤 F2以上/治療歴ありと定義しました. BTR 4.4以下をアミノ酸インバランス(AAI)と定義して後方視的に生命予後を解析しました.【結果】多変量解析で75歳以上, mALBI 2b以下, 筋肉量低下(MVL), PHTが予後因子でした. AAIを予測するALBIは-2.586 (AUC 0.789)でした【結語】PHTがあれば,Child-Pugh AでもmALBI gradeが1から2aに悪化する時期にAAIがすでに起こりはじめており, MVLへの進展を防ぐために栄養介入を積極的に行うべきである.
多くの先生方からの評価を受け、このような栄誉に輝くことは大変光栄であります。今後も、Clinical Questionに対する一助となるよう努めて参りますので、引き続きご指導を賜りますようお願い申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。