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論文・学会・研究会の報告
 

論文・学会・研究会の報告

中村由子先生の論文が雑誌「肝臓」にアクセプトされました。
おめでとうございます。

以下は中村先生からのコメントです。

この度、「血栓性微小血管障害症を合併したアルコール性肝硬変の一例」と題した論文が肝臓にアクセプトされました。

本論文はアルコール性肝炎の経過中に血尿が持続し、腎生検にて血栓性微小血管障害症 (TMA) の診断を得た症例報告です。肝硬変の経過中に血尿が出現した際には、ADAMTS13活性の測定を行い、VWF/ADAMTS13活性のインバランスがある場合はTMAを疑い、FFPやrTMの投与を考慮する必要があることを報告しています。

多くの先生方には診断・治療に至る過程で多くのお力添えをいただきました。また論文作成にあたり全面的にサポートいただきました徳本先生、日浅教授、共著者の先生方に感謝申し上げます。今後も実臨床に活かして行きたいと思います。

古川慎哉先生が作成された「不健康な食習慣とルセフィによる血糖改善および体重減少との関連性についての論文(The luseogliflozin Ehime Diabetes Study: LED study)」がDiabetes Therapy (IF 2.945)にアクセプトされました。

以下、論文の内容と古川先生からのコメントです。

不健康な食習慣はさまざまな疾病リスクとなることがわかっています。
当教室では、糖尿病で不健康な食習慣(遅い夕食)があると、糖尿病では逆流性食道炎が多く、制酸剤による治療効果が減弱すること(Can J Diabetes 2018; 42: 312)、潰瘍性大腸炎ではお腹いっぱいまでたべる習慣があると粘膜治癒が有意に少なく(BMC Gastroenterology 2021; 21: 152)、欠食習慣があると機能性ディスペプシアが有意に多いなど (J Neurogastroenterol Motility In Press)など食習慣に着目した研究を進めてきました。

満腹まで食べる習慣は肥満に、朝ご飯欠食も肥満、脂質異常症、糖尿病の発症に、早食いは肥満、高血圧、食後高血糖、インスリン抵抗性との関連性が示されています。
以上のことから、不健康な食習慣が、糖尿病薬物治療効果を減弱させる可能性がありますが、不健康な食習慣を含めた種々の不健康な行動が、DPP4阻害薬の無効例、SGLT2阻害薬における体重減少が弱まることがそれぞれ1報のみで食習慣と糖尿病治療効果に関するエビデンスは十分ではなく、とくに不健康な食習慣それぞれとSGLT2阻害薬の治療効果への影響は不明でした。

2型糖尿病29例を対象としてルセフィ投与前に、早食い、遅い夕食、夕食後の間食、お腹いっぱいまでたべる、朝欠食を自己記入式質問調査票で調査を実施しました。不健康な食習慣が多い集団(不健康な食習慣が2つ以上)ではHbA1cおよび体重改善効果が減弱していました。不健康な食習慣が少ない集団(不健康の食習慣が1以下)ではHbA1cと体重減少との間に相関がありましたが、 不健康な食習慣が多い集団 ではHbA1cと体重減少との相関は見られませんでした。 また、個別の食習慣では早食い以外の食習慣はHbA1c改善効果が減弱していましたが、早食い習慣がある方がHbA1cがより改善していました。一般的な不健康な食習慣は SGLT2阻害薬の治療効果を減弱させるが、早食い習慣はSGLT2阻害薬の治療効果が維持されていました。早食いは食後高血糖が高く、ルセフィによるGLP-1分泌増強や食後高血糖改善効果から上記のような違いが見られたのかもしれません。本研究は少数での探索的な研究であり、食習慣と薬物の効果についてはさらなる研究が必要と思われます。

済生会松山病院の八木先生と総合健康センターの古川先生がまとめていました潰瘍性大腸炎におけるAGR(アルブミングロブリン比)と粘膜治癒との関連性に関する論文が韓国大腸肛門学会雑誌 Annals of coloproctology(IF 1.13)にアクセプトされました。

AGRは慢性炎症のマーカーとして、がん、サルコイドーシスなどの自己免疫性疾患、心不全、脳卒中の予後との関連が報告されています。しかし、炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎における意義は不明でした。

そこで、愛媛潰瘍性大腸炎研究のベースラインデータを用いて、潰瘍性大腸炎患者におけるAGRと臨床アウトカムとの関連性を横断的に解析しました。CRPは代表的な炎症マーカーですが、内視鏡所見や粘膜治癒と一致しないことが指摘されています。そこで加えて、CRPを層別化してAGRと臨床アウトカムとの関連性を解析しました。

AGRは臨床的寛解、粘膜治癒(MES0)との間に正の関連性があり交絡因子で補正後でも有意でした。とくにCRPが低い0.1mg/dl以下での症例群ではAGRは臨床的寛解とは関連性は消失しましたが粘膜治癒との正の関連性がありました。一方でCRPが高い症例群ではいずれのアウトカムとも関連性はありませんでした。

アルブミン、グロブリンともに簡便でかつ迅速測定が可能であり、その測定コストや利便性から日常臨床においても活用可能です。AGRは潰瘍性大腸炎において、臨床的寛解や粘膜治癒と正の関連性があり、CRPが低い症例群では粘膜治癒の補助的血清マーカーとなりえる可能性が示唆されました。

12月3日から4日にかけて、名古屋国際会議場で第41回日本肝臓学会西部会が開催されました。

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教室からも多数の先生が参加しました。

今回、ポスターセッションで研修医の渡部先生と鶴居先生が発表されました。

 

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オーベンの山本安則先生と渡部浩史先生

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発表本番前、入念な準備中です。

 

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鶴居亮輔先生とオーベンの小泉洋平先生

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しっかりとしたプレゼンは、他病院の先生からも評判でした。

 

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夜は、済生会今治病院の恩地先生と、研修医の赤瀬先生も合流して、会食。

名古屋を満喫できたようです。

渡部先生、鶴居先生、お疲れ様でした。

 

4/9から4/13にかけてロンドンで開催されたEASL(European association for the study of the liver)のThe international liver congress 2014に参加しました。当科からは日浅先生、廣岡先生、小泉(洋)先生が参加、愛媛県立中央病院から平岡先生が参加されました。
ロンドンのHeathrow空港からHeathrow Expressに乗り、ロンドン市内へ、地下鉄でおよそ40分、ExCeL London Exhibition and Convention Centreという会場に無事着きました。

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発表はポスターで廣岡先生が「LOCAL RECURRENCE IN THE TUMOR BLOOD DRAINAGE AREA AFTER RADIOFREQUENCY ABLATION」、小泉(洋)先生が「PORTAL HYPERTENSION DUE TO OUTFLOW BLOCK IN NON-CIRRHOTIC PATIENTS WITH NONALCOHOLIC FATTY LIVER DISEASE」で行いました。

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左から平岡先生、廣岡先生、以前当科に留学されていたChen先生。

廣岡先生の発表ポスターの前にて

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小泉(洋)先生

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E-posterもしっかり提示されているか確認しました。

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会場からホテルまでの帰りにロンドン橋に寄ってみました。荘厳さと優雅さを兼ね備えた存在感に圧倒されました。

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夜はサッカー誕生の地、イングランドの総本山ということから、「サッカーの聖地」とも呼ばれるウェンブリースタジアムでサッカー観戦してきました。

この日はFAカップの準決勝で、アーセナル対ウィガンの試合でしたが、観客は7割強がアーセナルファンだった印象です。アーセナルの9年ぶりの決勝進出がかかった試合に試合開始前からスタジアム周辺ではアーセナルファンが集まり応援歌が歌われ、時折みられるウィガンファンも負けじと応援歌を歌っていました。スタジアムの中での応援はさらにすごく、スタジアム全体にチャント(応援)が響き渡り、スタジアムに独特の熱狂的な雰囲気を作り出していました。

ウィガンがPKで1点先制しましたが、終了前にアーセナルがセットプレーから1点を取り返し、延長でも決着がつかず、PK戦の末、地元ロンドンのアーセナルが勝利し、試合終了後もファンの喜びの声援が鳴りやみませんでした。

来年は芸術の街、ウィーンでの開催のようです。

12/6から12/7まで岐阜県で第40回日本肝臓学会西部会が開催されました。

当科で4月から3か月間研修を行っていた研修医の奥嶋先生が、「出血を繰り返す人工肛門静脈瘤に経皮経肝静脈瘤塞栓術と部分的脾動脈塞栓術が有効であった1例」を報告しました。

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(さらに…)

11/23,11/24の2日間,香川県で第100回消化器病学会四国支部例会,第111回消化器内視鏡学会四国支部例会が開催され、当科からも,多くの先生方が参加されました.

(さらに…)

JDDWに参加して

現在当科をローテーション中の北畑先生と砂金先生が先日のJDDWに参加しました.
全国学会を経験し,全国の頑張っている若手医師の姿を見ることで大いに刺激を受けてくれた事と思います.
それぞれの学会参加体験を報告させて頂きます.

UEGW報告

2013.10.12-16にベルリンでヨーロッパ消化器病学会週間(UEGW)が開催され、愛媛県立中央病院から2名(道堯浩二郎先生、二宮朋之先生)が参加されました。

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道堯先生がポスター発表した南宇和地区におけるHTLV-1HBVの共感染に関する報告(愛媛県立中央病院と愛媛県立南宇和病院の共同研究で、県立南宇和病院受診者のうち両ウイルスが検査された9,838例での検討)がPoster of Excellenceに選出されました。

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優秀ポスター選考委員のアメリカ人のレフェリーより、アメリカではHLTV-1は輸血のスクリーニングに含まれておらず、含めるべきかどうか考える上で参考になるデータ、とのコメントがありました。

 

9月9日 愛媛県医師会館にて第12回 日本内分泌学会 四国支部学術集会が開催されました(会長:宮内 省蔵先生)

現在3内科で研修中の白石先生が

「Lypohypertrophyが血糖コントロール不良の原因であった劇症1型糖尿病の1例」

の演題で発表され、見事 研修医奨励賞を獲得されました

(さらに…)

 
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愛媛大学大学院
消化器・内分泌・代謝内科学
(第三内科)
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