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お知らせ
 

9月2024

愛媛県立中央病院の多田藤政先生が第31回日本門脈圧亢進症学会総会において、日本門脈圧亢進症学会田尻賞(和文原著部門)を受賞されました。

以下、多田藤政先生より、受賞にあたってのコメントです。

この度は日本門脈圧亢進症学会田尻賞(和文原著部門)を受賞し、この名誉に謙虚に感謝申し上げます。
令和6年9月26日に高知市で開催された第31回日本門脈圧亢進症学会総会において、本論文が厚い評価を受け、表彰されました。この場を借りて、ご指導いただきました平岡先生、日浅教授、そしてたくさんの症例をご提供いただきました同門の先生方に深く感謝申し上げます。

内容ですが【背景/目的】門脈圧亢進症合併症例の予後改善やサルコペニア進展阻止のため栄養介入をすべき症例の臨床像は未だ明らかではない.そこで,栄養介入を開始すべき臨床像を明らかとすることを目的に検討を行いました.【対象/方法】2021年12月までに当院で診断した初発肝癌患者408例.肝予備能評価にはmALBIを用い, 門脈圧亢進症 (PHT)は食道胃静脈瘤 F2以上/治療歴ありと定義しました. BTR 4.4以下をアミノ酸インバランス(AAI)と定義して後方視的に生命予後を解析しました.【結果】多変量解析で75歳以上, mALBI 2b以下, 筋肉量低下(MVL), PHTが予後因子でした. AAIを予測するALBIは-2.586 (AUC 0.789)でした【結語】PHTがあれば,Child-Pugh AでもmALBI gradeが1から2aに悪化する時期にAAIがすでに起こりはじめており, MVLへの進展を防ぐために栄養介入を積極的に行うべきである.

多くの先生方からの評価を受け、このような栄誉に輝くことは大変光栄であります。今後も、Clinical Questionに対する一助となるよう努めて参りますので、引き続きご指導を賜りますようお願い申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。

「B型肝炎に対するHBs-Lハイブリッド抗原(HBs-Lh抗原)を用いた経鼻投与治療・予防ワクチンの開発」プロジェクトの御紹介

Introduce our project entitled “Development of intranasal therapeutic and prophylactic vaccine containing HBs-L hybrid (HBs-Lh) antigen for hepatitis B”.

現在、B型肝炎の長期治療目標として、HBs抗原の消失ならびに機能的治癒(functional cure)が掲げられています。しかし、治療第一選択薬である核酸アナログ製剤での実現は5年で3%以下と難しい状況です。当科では、HBs抗原+HBc抗原を用いた経鼻治療ワクチンを開発し、AMEDの支援を受けて第IIa相臨床試験を行い、13.8%のB型肝炎患者でHBs抗原の消失を得ています。当科を中心とした研究班では、さらにより強い抗ウイルス効果を求めて、HBs抗原を、従来のS領域のみのHBs-S抗原に換えて、genotypeの異なる全領域のHBs-L抗原を同一脂質粒子上に表出するハイブリッド型抗原であるHBs-Lh抗原を開発しています。同抗原により、いずれのgenotypeに対しても高い抗原中和能を持つ中和抗体を誘導できます。AMEDの支援をいただき、既にGMPグレードのHBs-Lh抗原およびHBc抗原の試製造を行っており、創薬に向けて検討しています。現在、HBs-Lh抗原+HBc抗原を用いた経鼻投与による治療ワクチン開発を目指しており、抗原製造ならびに前臨床試験、および臨床試験の実施に協力いただける企業との共同研究を模索しています。興味をお持ちいただけましたら、ぜひ当科にご連絡ください。

The treatment goals for hepatitis B are the elimination of HBs antigen and functional cure, however these are difficult to achieve with the first-line treatment of nucleoside analogues. The Japanese Ministry of Health, Labour and Welfare has set a target of improving the cumulative 5-year HBs antigen clearance rate from 3% to 5%. Our research group has developed a nasal treatment vaccine using HBs antigen + HBc antigen, and conducted a Phase IIa clinical trial with support from AMED in Japan, resulting in HBs antigen clearance in 13.8% of hepatitis B patients. In order to achieve an even stronger antiviral effect, we developed the HBs-Lh antigen, a hybrid antigen that expresses the entire HBs antigen of a different genotype on the same lipid particle, replacing the conventional HBs-S antigen, which only expresses the S region. This antigen can induce neutralizing antibodies with high neutralizing activity against all genotypes. In addition, we have confirmed that the addition of HBc antigen to HBs-Lh antigen has a stronger effect on enhancing cellular immunity. We have completed trial production of GMP-grade HBs-Lh antigen and HBc antigen. As a nasal vaccine, it has a higher level of safety and tolerability, and we have confirmed that it has a better immune therapeutic effect than subcutaneous administration. We would like to collaborate with a company that can help us with the production of the antigen, preclinical trials, and Phase I clinical trials, in order to develop a therapeutic vaccine using HBs-Lh antigen + HBc antigen for nasal administration.

BioJapan_2024_愛媛大学_日浅_日本語ムービー

BioJapan_2024_Ehime Unv_hiasa_English movie

碓井亨先生が入局されました!大変嬉しい出来事を共有させていただきます。
以下、県立中央病院で指導されたS先生より入局に際していただきましたコメントです。

みなさま,こんにちは.
医局に新たな風が吹き込みます.
消化器領域で新進気鋭の碓井 亨先生が入局することになりました!
おめでとうございます!
仕事は緻密で正確.性格は温厚で冷静.
病棟業務も内視鏡検査もスマートにこなし,プライベートでは誰も気が付かない間に素敵なパートナーを見つけるなど,抜け目がありません.
大学時代の硬式テニス部でも周りへの細やかな配慮とリーダーシップでTEAMをまとめてくれました.消化器内科においても,的確な診断力,行動力を存分に発揮してくれることを楽しみにしています.
愛媛県立中央病院で研修後,広島で研鑽を積み,愛媛に戻ってくるか悩んだ末,ついに愛媛の医療を担うことを決めてくれました!
共に最高の消化管TEAMを作り上げていきましょう!

CATEGORY : お知らせ その他 

10月 講演会・研究会案内

〇Upper GI Expert Seminar
日時:10月8日(火)19:00~20:30
現地聴講
Web 同時配信
会場:ANA クラウンプラザホテル松山 3F 『 ローズ 』

 講演1 
愛媛大学医学部附属病院 光学医療診療部 特任講師
山本 安則 先生

 講演2 
愛媛大学大学院 医学系研究科 消化管・腫瘍外科学講座 准教授
古賀 繁宏 先生

 特別講演 
慶應義塾大学医学部 外科学 教授
北川 雄光 先生

〇第3回 DiaMond Seminar in 四国
日時:10月10日(木)19:00~20:00
オンライン配信

 講演1 
愛媛大学大学院医学系研究科 地域生活習慣病・内分泌学 教授
松浦 文三 先生

 講演2 
高知大学医学部 内分泌代謝・腎臓内科学 教授
藤本 新平 先生

〇IYO Biliary-Pancreatic Conference
日時:10月22日(火)19:00~20:10
オンライン開催

 講演 
愛媛県立中央病院 消化器内科 部長
黒田 太良 先生

 特別講演 
東京医科大学 臨床医学系消化器内科学分野 主任教授
糸井 隆夫 先生

〇愛媛胆道癌治療セミナー
日時:10月29日(火)19:00~20:15
ハイブリッド開催
会場:TKP松山市駅前カンファレンスC 2階 『ルームB』

 講演1 
独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 消化器内科
大鶴 徹 先生

 講演2 
神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵)部長
上野 誠 先生

20241008_Upper GI Expert Seminar
20241010_第3回 DiaMond Seminar in 四国
20241022_IYO Biliary-Pancreatic Conference
20241029_愛媛胆道癌治療セミナー

第24回日本内分泌学会四国支部学術集会において、総合健康センター 古川慎哉教授が会長を務められ、盛会に終了いたしました。以下、古川先生よりいただきましたコメントです。

第24回日本内分泌学会 四国支部学術集会を終えて
愛媛大学 総合健康センター 教授
古川慎哉

2024年9月6日土曜日に愛媛大学医学部40周年記念講堂において,第24回日本内分泌学会四国支部学術集会の会長を務めさせていただきました。今回の学会では,例年にも増して26題の一般演題をご登録いただきました。特に教室員及び同門会員の先生方からは,多くの演題登録をいただき,ありがとうございました。特別講演では,公衆衛生学講座時代にご指導いただいた現順天堂大学公衆衛生学講座の谷川武先生に「睡眠時無呼吸症候群とスクリーニングの意義~安全と健康に資する睡眠面からの取り組み」をご講演いただきました。また,教育講演では東北支部長で東北大学の菅原明先生(写真1)に「災害時の内分泌・代謝疾患~東日本大震災時の東北大学の取組み」を,JES We Can企画の講演では2024年4月に関東支部から香川大学の教授に来られた岩部(岡田)美紀先生(写真2)に「多角的アプローチ・異分野融合方研究による内分泌代謝学の魅力」を,ランチョンセミナーでは北里大学の宮塚健先生に「糖尿病治療の変遷と展望-GIP/GLP1 dual agonistが拓く可能性」を,ご講演いただきました。
今年の学会賞(優秀演題賞)は,和田あゆみ先生(徳島赤十字病院 糖尿病・内分泌内科)が「診断・薬物(ジアゾキシド)治療・手術までの血糖変動をisCGMで確認しえたインスリノーマの1例」で,小林俊博先生(香川大学 内分泌代謝内科)が「高齢2型糖尿病患者における骨格筋量と身体動作に関する検討」で,受賞されました(写真3)。
学会運営には不慣れな面も多々ありましたが,無事終了して安堵しております。多くのご協力をいただきました先生方およびスタッフの皆さんに感謝申し上げます。

写真1

写真2

写真3

潰瘍性大腸炎の粘膜治癒と夜間頻尿の関連についての論文がNeurourology and Urodynamics(IF 1.8)にアクセプトされました!

以下,first author Sからのコメントです.

愛媛県立中央病院 消化器内科と愛媛大学総合健康センターの古川慎哉教授が共同で投稿しておりました,潰瘍性大腸炎の粘膜治癒と夜間頻尿の関連についての論文がNeurourology and Urodynamics (IF 1.8) にアクセプトされました.

以前からIBD診療をしている先生の間で潰瘍性大腸炎の患者は夜中にトイレ(排尿)に行くことが多い気がする…という都市伝説のようなものがありました.

夜間頻尿はQOLに影響を与えるため,患者にとって重要な症状となります.骨盤内臓器クロストークを介して,腸疾患と下部尿路症候群,子宮疾患には密接な関係があることが報告されていますが,潰瘍性大腸炎患者における夜間頻尿の検討はほとんどありません.今回,潰瘍性大腸炎患者における疾患活動性と夜間頻尿の関連を明らかにすることを目的としました.2015年から2019年の間に愛媛大学および愛媛県内の関連病院を受診したUC患者(N=287)を対象に夜間頻尿と粘膜治癒および臨床的寛解の有病率との関連について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価を行いました.結果として夜間頻尿2回以上は,粘膜治癒と独立して逆相関していました (調整オッズ比[OR]: 0.31,95%信頼区間[CI]: 0.13-0.73).非高齢者(70歳未満)および臨床的寛解の患者においても,夜間頻尿2回以上と粘膜治癒は逆相関していました (非高齢者: 調整オッズ比: 0.27,95%CI: 0.09-0.72、CRのみ: 調整オッズ比: 0.34,95%CI: 0.12-0.90).結論として日本人の潰瘍性大腸炎患者では,夜間頻尿は粘膜治癒と独立して逆相関していました.

本研究はIBD診療に携わる愛媛大学および県内関連病院の先生方や愛媛大学総合健康センタースタッフのご協力によって行うことができました.深い感謝を申し上げます.

Neurourol Urodyn. 2024 Aug 22. doi: 10.1002/nau.25570. Online ahead of print.

 
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愛媛大学大学院
消化器・内分泌・代謝内科学
(第三内科)
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