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「笑い」と機能性ディスペプシアとの関連性についての論文がアクセプトされました!
 

お知らせ

山本安則先生と総合健康センターの古川慎哉先生がまとめた「笑い」と機能性ディスペプシア との関連性について研究結果がInternational Journal of Environmental Research and Public Health (IF 3.390)にアクセプトされました。

以下古川先生からのコメントです。

「笑い」は様々な病気の予防に役立つとされており、NK細胞などの免疫能の改善や食後高血糖の予防に加えて、動脈硬化疾患も予防的に働くことが報告されています。笑いと消化器疾患との関連については、過去2法報告があり、過敏性腸症候群では笑いヨガでは症状が緩和することや機能性胃腸障害に効果があったことが報告されていましたが、機能性ディスペプシアにおいてはエビデンスがありませんでした。また、「笑い」の場面ごとの健康へ与える効果は過去の先行研究でも解析されていませんでした。

愛媛大学の学生検診データを活用して、自己申告の「笑い」、「笑う場面」と機能性ディスペプシアとの関連性について解析を行いました。

自己申告の全体「笑い」の頻度とFDとの関連性はありませんでした。一方で、笑いの種類と機能性ディスペプシアとの関連性については興味深い解析結果が明らかになりました。

「ほぼ毎日友人や家族など他人と一緒に笑う」では有意に機能性ディスペプシアの有病率が低く、その頻度と負の関連性がありました(調整後オッズ比0.47 [95% 信頼区間: 0.28–0.81], p for trend = 0.003)。

一方で、「テレビやビデオを見ながら笑う」や「漫画などで笑う」ではむしろ機能性ディスペプシアが有意に多い結果でした(テレビやビデオでの笑い(週に1から5回)調整後オッズ比1.74 [95% 信頼区間: 1.16–2.60]、漫画での笑い(週に1から5回)調整後オッズ比1.78[95% 信頼区間: 1.08–2.81])

なぜ「ほぼ毎日友人や家族など他人と一緒に笑う」と機能性ディスペプシアが少ないかについてはいくつかの機序が考えられます。

1)一般的に鬱症状は機能性ディスペプシアとのリスクとされており、笑いが鬱症状の緩和を介して機能性ディスペプシアを予防した可能性

2)他人との一緒に笑うことでオピオイド類が分泌され、痛みの閾値が変化した可能性

3)笑うことは健康的な証である可能性

4)とくに他人と一緒に笑えることは社会的な絆が強いことを意味しており、社会的絆が強いと、コルチゾールをさげ、オキシトシンの濃度を高めまった可能性(ヒトの先行研究)

5)その結果としてコルチゾールは内臓過剰反応を抑制し、オキシトシンは胃の排出能を高めた可能性

一方で、話のオチを聞くと、交感神経を亢進させることが先行研究で示されており、テレビや漫画などでの笑いは機能性ディスペプシアのリスクを高めた可能性が考えられます。(実は、我々のことを考えて?、三宅映己先生がオチない話もされているかもしれません。)

本研究では「家族や友人と一緒に笑うこと」が機能性ディスペプシアに予防的に働く可能性、「笑い」には種類があり、健康へ与える効果が異なる可能性が示唆されました。今後、笑いの介入研究等で因果関係を解明する必要があるかもしれません。

 
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愛媛大学大学院
消化器・内分泌・代謝内科学
(第三内科)
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